「川のほとりに立つ者は」寺地はるな 2022年

あらすじ
2020年夏
カフェの店長を務める29才の清瀬は
恋人の松木とすれ違いが続いていた。
原因は彼の隠し事。
そんなある日松木が怪我をして意識を失い
病院に運ばれたと連絡を受ける。
意識の回復を待つ間
彼の部屋を訪れた清瀬は
3冊のノートを見つける。
そこにあったのは
子供のような文字と無数の手紙の下書きたち。
清瀬は松木とのすれ違いの"本当の理由"を
知ることになり…
松木が大切であろう清瀬に言えなかったこと。
それが徐々に明かされていくとき
松木の優しさ、
清瀬のモヤモヤしたもどかしさを思うと
胸の奥がツーンと傷んだ。
同時に、意識不明が長く
どうかどうか戻ってきて!
ちゃんと思いを伝えて!
清瀬の思いを受け止めて!
と願っていた。
「…わたしは今まで、松木だけじゃなく
誰のこともわかってなかったと思うんです。
わかろうとしてこなかったんです。
他人にたいして
「なにか理由があるのかもしれん」
って想像する力が足りなくて…
そのせいで職場の人を傷つけたりもしたんです」
「川のほとりに立つ者は
水底に沈む石の数を知り得ない」
(一部抜粋)
他人をわかろうとせず
自分の価値観で判断することがある。
まずはわかろうとする!
知ろうとする!
理解出来るかどうかは別として
その気持ちがあるだけで
人間関係はうまく回るかも…
物語の中に吸い込まれるように
数時間で一気に読み終えた。
寺地さんの綴る言葉の数々が
心に温かい水のように
じわりじわりと沁みてきた。