#451
『The Minds of Billy Milligan』
YL 7.5-8.0 112000 words
著者:Daniel Keyes
オススメ★★★★☆
面白かったけどとにかく長いので、気力と興味のある人だけお読み下さい
実在したアメリカ人の多重人格者(そして犯罪者)のビリー・ミリガンについて、資料と本人への聞き取りを小説にしたものです
20年か30年くらい前に日本語訳が人気で、図書館で上下巻セットで借りた記憶が……長いし難しいし斜め読みでページをめくり読んだ気になって返却したような覚えが……
今回は何故か急に読みたくなって、隅から隅まで一ヶ月以上かけて頑張ってみました
本人を含め全部で24人の人格が1人の体に同居するに至った過程は、ハードモード過ぎて気の毒 です
3歳の時に父親の自殺を目撃
8歳からは母の再婚相手による日常的な性的虐待
そのたびに人格が増えてしまい、小学時代から授業中にも意図せず人格が入れ替わってしまうようになる
しかも入れ替わっていた間の記憶がビリー本人にはない
とてもかわいそうな人ではあるけれど、「○○の支払いをする金がないな、よし!誰かを襲って奪い取ろう」と犯罪に対するハードルが低い人格もいるわけで、どうやって裁くのかということも考えなくてはならない点です
読んでいるうちに、行動パターンや話し方の癖で今誰の人格なのか区別がつくようになりました
耳の聞こえない幼児、レズビアンの女性(大人の男性が怖いから生まれた人格)、電気や機械に強い、詩を書く、絵が上手い、ドラムを叩ける、独学で医学を学ぶ等々本当はひとりのビリー・ミリガンが持っている才能であり個性だと本人が自覚して、たくさんの医師やカウンセラーの力を借りて人格を統合していく所は読み応えがありました
隅から隅まで熟読したせいで、悪い言葉や汚い単語の他に今度はドラッグ関係やセクシャルな隠語まで覚えてしまいました
2022年6月24日読了 727万語