CER (Cambridge English Readers) level-5
YL 5.5-6.0
23267 words
オススメ ★★★☆☆


設定が西暦2051年のSFです
こういったSFを、日本語でも読んだことがない人には読めないかもしれません


SaulはEnglandに住む音楽評論家
特に気に入っているのはイルカたちの歌う音楽
イルカは人間と同じようにそれぞれが違う曲が歌えて、人々は皆イルカの歌を買い求める

しかしSaulはある時知人から事実を聞かされる

イルカたちはmusic roomと呼ばれる部屋で体とほぼ同じ大きさの水槽に閉じ込められ自由を奪われていて、美しい歌声は水槽に電気を流した時の死を前にした断末魔の叫びであるらしい

「music room って言葉を聞いたことある?」
Saulは恋人でオーケストラのチェロ奏者であるCarolineに尋ねた
Carolineは聞いたことはないと答えた

すべての電話とメールは"Control"と呼ばれる統一政府にチェックされているので、決して口にしてはいけないキーワード"music room"を発したSaulはテロリストとして指名手配されて、命を狙われることになった

文章は読みやすくストーリーの展開も予測できるのですが、こういう突拍子もない設定は詰めが甘くてイライラしました

何年も恋人だってのに、一回も会ったことないんだって。
結婚するその日に初めて会うのが普通で当たり前なんだって
キモチワリー


もしかしたらこの本は本当はもっと倍くらい長い話なのに、あちこち削ったのかなと思いました
そうじゃないと納得いかない

普通はSFならどういう経緯でその状態(政治や社会システム)になってるか説明があるはずなのにまったくない
主人公の家族についての記述も、生い立ちも、過去の回想もなにもない
もちろんシーシェパードも出てこない(肝心な時にいないなんて役立たず)

なのにいきなり「2051年はこうなってます」って、私は納得しないからね!って誰に怒ってるんだよ!