【前回の続きから】
システムをほとんど知らない俺だったが、先輩と電話をやりとりしつつどうにかシステム更改をやり遂げた。その後に開かれたチーム会議では当然ねぎらいの言葉を掛けられ、褒められると思っていたが…
俺「すみません、どういう意味でしょうか」
先輩「勉強も事前にしないでよく行けたなって言ったの」
今までの俺なら発言すらせず、素直に引き下がった事だろう。
だが、この会社で出世できないこと、やりたいことが出来たこと、かつての上司を怒鳴りつけた事(いずれブログに挙げる予定)、そして何より自分は思っていた以上に能力があることに気づいた俺に失うものなど何もなかったので公然と言い返したのだ。web会議上とはいえ、正直自分自身が驚いていた。
それにしても、この先輩の発言はどうだろう。
所属して数カ月しか経っていない俺が付け焼き刃で勉強したら客先で更改作業ができるほど薄っぺらなものじゃないだろう。無茶にも程がある。そもそも俺が作業を失敗したら客先のシステムに影響が出るわけだ。この派遣先はどういう基準でほぼ未経験の俺を送り出したのだろう。
この先輩が「まだ入って間もない人間を客先の現場に派遣するなんて、派遣先は何を考えているんだ」とむしろ俺を庇う立場なんじゃないのか。
ところが、そうではないのである。
弱い立場にいる俺が何故か「勉強不足」と責められている。俺だって好きこのんで行ったわけではない。派遣先の業務命令に従って行ったのだ。
俺は、
「右も左も分からない私を客先に派遣する事自体無理な話ではないですか。勉強不足ってそれは当然でしょう。むしろ先輩なら『入って間もない私を客先に寄越すなんて考えられない。俺が文句言ってやろう』とかならまだ分かりますよ。それを無茶振りする方の味方ってどういう了見ですか」
とキレ気味に言った。というかキレたのだ。さすがに堪忍袋の尾が切れたからだ。
そしたらその先輩はひとこと、
「キレそう」
と呟いた。
なんだこのジジイ、と思ったと同時にガッカリしていた自分がいた。
かつて俺がいた職場のシステムの立ち上げ時に携わったという伝説があり、当然うちの会社の社業に貢献した人物なので敬意を払っていた。
それがいざ蓋をあけたら、自分がいた会社の社員を切り捨て、今所属している会社の味方をしている。当然という向きもあろうが、人としてどうなのだろうか。
web会議では、俺と同じ会社の社員もいたが、誰一人味方をするメンバーはいなかった。一瞬、「勉強が足りなかった俺が悪いのかな」という思いがよぎったが、やはりおかしいと思い直した。
そして誓った。
「この職場はおろか、この会社には長くいられない」
【続く】