作品賞にあたる金熊賞は、養蜂業の父と幼い息子の姿を描いたトルコ・ドイツ合作の『Honey』(原題)、銀熊最優秀男優賞はロシアの『How I Ended This Summer』(原題)のグリゴリ・ドブリギン、セルゲイ・プスケパリスの2人が受賞し、同作は芸術貢献賞も受賞。監督賞は、30数年前に起こした淫行事件の罪で現在スイスの自宅で拘束中のロマン・ポランスキーが『The ghost writer』(原題)で受賞。中国の『Apart Together』(原題)のワン・チュアンアンとナ・チンが脚本賞、ルーマニアの少年院から脱走を図ろうとする少年たちを描く『If I want to whistle, I whistle』(原題)は審査員特別賞に輝いた。
“ダルフール”と聞いてピンと来るだろうか? アフリカのスーダン・ダルフール地方で起きている紛争をテーマにした映画『SING FOR DARFUR シング・フォー・ダルフール』。公開を控え、8月20日(木)、本作を後援するオランダ王国大使公邸にてレセプション・パーティが行われ、女優の鈴木杏、世界的に活躍する衣裳デザイナーのワダ・エミらがゲストとして来場した。
2004年の紛争勃発以来、30万人を超える人々が殺されるという悲劇がいまなお続いているにもかかわらず、ダルフールという地名を聞いたことさえもない人が多い、というのが悲しい実状。本作はチャリティイベント「SING FOR DARFUR」が行われるある日のバルセロナを舞台に、ダルフールとは無関係に生きる人間たちの日常を淡々と描き、その美しい映像を通して、“無関心”であることの怖さを訴えかける。監督はオランダのヨハン・クレイマー。
この日はさらに、12歳の少年がダルフールのために歌う映画のオープニングソング「ADAM'S SONG」に対するアンサーソングとして作られた「Touch The Sky」が初めて披露された。本曲にプロデュースから携わり、アニメ「The World of GOLDEN EGGS」の人気キャラクター、ジャッキーおばさんの声優としても知られるアーティストのブレンダ・ヴォーンは「曲を通じて想いをほかの人につなげていってほしい」とコメントし、美しい歌声を会場に響かせた。
昨年の東京国際映画祭で上映され、当時から映画ファンの間で話題になっていた本作『SING FOR DARFUR シング・フォー・ダルフール』。非営利で製作され、プロジェクトから生まれた利益の一部は「The Sing For Darfur Foundation」へ寄付されるなど、通常の配給作品とは違う試みを意欲的に行う。映画の公開は9月19日(土)よりシアターN渋谷ほか全国にて。