レコーディングスタジオで窓がついてるスタジオは少なく、このスタジオにくると席から見える細長い小さい空に嬉しくなります。



私にとって、この細長い空の区切りからつながる場はジェームスタレルさんなんです。


もともと、土間や窓など、役割をもってくぎられた場所や景色は好きでしたが、自分の好き嫌い関係なく、出会ってしまった瞬間からジェームスタレルさんの作品に猛烈にどハマりしました。


私がはじめてジェームスタレルさんの作品に触れたのはもう何十年も前、おそらく2004年だったよな、、の直島で、です。

当時、自然光で見られるモネの絵を見たかったのと、建築をかじっていた影響で安藤忠雄さんの建築物を体感したくて行ったんですが、そこで出会ったジェームスタレルさんの作品たちに、思わぬ完全ノックアウトされてしまいました。



                                  (お写真お借りしました)





光や空、そんな得体の知れないものをきりとると、とたんにそこには別の空間があらわれて、その空間に入る私たちの何かをも、消したり顕したり、思い出させたり忘れさせたりしてくれる、そんな空間なのです。





彼がきりとるのは空や光だけではありません。

南寺にあるバックサイド・オブ・ザ・ムーン

という作品は闇の中の深淵の空間なのですが、はじめて体感した時は驚きと衝撃がとまりませんでした。種明かしはしたくないから内緒にしておきます。


ちなみに私は大抵こういうものはひとりで体験します。はじめて体感する時は特に。ひとりじゃないと感じられない事ばかりだからです。


後から、他の時期に直島に行った友人に、どうだった?ときいたら、、彼女にとってはタレルはあまり響かなかった様子。

あ、あれか、なんじゃ?で終わったわー、と言っていました。

いいんです。

やはり好みは人それぞれですよね、


がっかりするひともいれば感動するひともいて、期待して行っても何も受け取らない事もあるでしょう。

でもでも、私は声を大にして、

いつかタレルさんの作品に会いに行ってほしい、

きりとった空間からみえるスペースに映る自分自身との内なる対話を、静かなる俯瞰の時を過ごしてみてほしい、

と言い続けたいと思います。


そしていつか、彼が今も制作途中である作品、アリゾナ州北部の砂漠にあるローデンクレーターに行ける日を夢みています。