気になる存在の彼をはじめて見た時に
「この人とは長い付き合いになりそうだなぁ」と、なんとなく思った
親代わりに育ててくれた祖父母の他界
疎遠になった親族たち
はじめて心を通い合わせることのできた彼との別れ
わたしは、いつもどこかで「どうせわたしからみんな離れていく」と思っていた
寂しくて悲しい辛い思いをするのも
傷つくのも怖くて
そうやってわたしはわたしを守っていたんだと思う
だから、初対面で長い付き合いをイメージできる彼はわたしにとって不思議な存在だった
彼はわたしと同い年で、地元も同じ市内だったこともあり、すぐに打ち解けた
けど、わたしは一歩踏み込むのが怖く、ずっと様子を伺うようなことを繰り返していた
曖昧な関係が数年続いた
数年続くのだから、おそらく、彼もそうだったのだろう
当時は、自分でも何でこんなことをしているのか、何でこんなことになるのか
全くわからなかった
こんな曖昧な関係を母には言えるわけがない
前の彼に比べたらツッコミどころ満載の彼を家族に紹介することを想像すると心配され、大騒ぎするであろうことが容易にイメージできた
だから、ちゃんと固まるまで彼の存在は隠しておこうと決めた
母の耳に入らないよう、母をとりまく人たちにも、言わないと決めた
彼との曖昧な関係を通じて、わたしは自分の心に目を向けるようになっていた
ふとした時に彼が
「ちゃんと人を好きになったほうがいいよ」という言葉がわたしの心に残っていた
色々、調べてみたら
人を好きになるためには
まず自分を好きになる必要があるということを知った
ググったら、心屋仁之助という人が出てきた
本を買って、読んでみたら、目からウロコだけど、理にかなっている内容にスゴイ!と思った
テレビに出ている心屋仁之助という人の番組を見るたびに、心がザワザワした
そこから、わたしは
「わたしらしさってなんだろう?」
「自分らしく生きてみたい」
そう、思うようになった
心屋仁之助さんの考え方は、今までわたしがもっていたイメージを覆した
治療でもなくヒーリングでもなく、宗教でもなく、哲学ではなく…
とにかく、自由で軽やか
偏りがあるようでバランスがとれている
新鮮な考え方だった
たまにちょっと見え隠れするイタズラ心の腹黒さも、おもしろい
これまでコレしかない!と、家で信仰していた宗教の考え方とは違う角度からの考え方に息苦しさを感じていたわたしには
肩の力が抜けるようだった
こうあるべき、正論から
それもいい、ダメでもいいという中庸の考え方に、がんじがらめで凝り固まったわたしの心は緩みはじめた
同時に
今まで、正しくて当たり前だと思っていた母の考え方とわたしの考え方の違和感を感じるようになっていった