わたしが保育所の年長あたり頃から祖父母の体調がおもわしくなくなり、

祖父母が入れ替わりで入退院を繰り返すようになった

保育所のお迎えが一番早かったわたしは

延長保育時間いっぱいまでの居残り組になった

居残り組の中でも、一番遅い方から1・2番を競っており

迎えの遅い親に対しての、保育士の先生気持ちをその時に感じ取り

迎えの遅い子どもの気持ちをその時に味わった

保育所が終わった後、母に連れられて祖父母が入院している病院に行く

帰ったら、お風呂に入って寝るだけ

この生活パターンのはじまりはこの頃からだ

 

わたしは、家族でのおでかけや家族旅行をしたことがない

休日、母は昼まで寝ている

休日、父はどこかへ出かけている

わたしは、本を読んだりアニメを見て、母が起きるまで時間を潰す

だから、わたしの記憶にも、写真にも家族旅行の様子は1枚もない

 

一日でも早く、祖母が帰ってきてほしいとずっと思っていた

寂しくて悲しくて不安でたまらなかった

 

 

 

しばらくして、祖母が退院した

退院はしたが、体調がままならない祖母をみて

わたしは祖母を助けたいと思った

あんなに寂しくて悲しくて不安な思いをしたくないから

祖母に早く元気になってほしいという一心でわたしは家の手伝いをするようになった

「世間から恥ずかしくない娘」として、常に他人に気を配り、行動する英才教育の下積みがあったので、家の手伝いは苦にならなかった

家の手伝いで一番記憶に残っているのはおつかいだ

買い物のおつかいもあったけれど、わたしがよくしていたのは

近所の家に野菜などを届け、代わりに別の物を受け取って帰る、おつかいだ

自転車の前のカゴと後ろの荷台に山盛りの野菜をくくり付けられ

フラフラしながら自転車を押して行き来する

知らない近所の家にも「こんにちわ」と訪ね、おつかいの品を渡す

わたしが「相手に人見知りを気づかせない術」を身に付けたのもこの修行のおかげだ

コンプレックスが「人見知り」という人がいるけれど

わたしにはある意味、それが羨ましい

自分の心を正直に表現できているのだから