久しぶりに、心臓をえぐられるような舞台に出会いました。
東日本大震災で被災したある家族の物語と、未来に起こりうるかも知れないエネルギー問題を扱った物語の2部構成。
休憩なしでノンストップ。3時間以上(!)の壮大な作品。でも、全く飽きずに食い入るように観てしまいました。
作・演出の中津留章仁さんとは、10年ほど前に中津留さんの舞台に出演させていただいてからの付き合いで、
トラッシュマスターズの舞台も何度か拝見しているのだけど、
最近の中津留さんの作品は、どんどん凄みを増している気がするなぁ。
特に前半の物語は…本当に震えました。
心にグサリと突き刺さる言葉がたくさん。
役者さんも、皆素晴らしかった。
中津留さんは、実際に被災地にボランティアに行かれ、その時見聞きしたことを織り交ぜながら作品を作られたそう。
震災から半年。未だ、現在進行形で続いている多くの問題。
どうしたって、虚構よりも現実の方が衝撃的すぎて、
そこから作品を作り出すなんて、
そこに答えを出すなんて、誰も怖くて出来ないことを、中津留さんはやろうとしている。
誰もが言葉を失ってしまうあの場所に立って、真正面から向き合い、言葉を紡いで、私達に問いを投げかけてくれている。
この作品を見て、傷つく人もいるかもしれない。
でも、それだけのリスクを背負って、覚悟を決めてこの舞台を上演されているのが、ビシビシと伝わってきた。
本当にもの凄い勇気だと思う。
私は…そんな風にちゃんと向き合えているだろうか。
逃げてはいないだろうか。
忘れないようにしているつもりでも、心が鈍感になっていないだろうか。
改めて、いろいろなことをズシリと考えさせられる舞台でした。
今月19日まで笹塚ファクトリーで上演しています。
ぜひ、たくさんの方に、観てもらいたい作品です。
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY201109080345.html
↑ 朝日新聞の紹介記事です。