久々映画を観にいく。


 

「春の雪」と「SAYURI」

古き日本を描いた(?)気になる映画2本立て。


日本つながりで観たはずなのに、まったく正反対の日本がそこにあって、なんだかその取り合わせに後から笑ってしまう。


さて「春の雪」


何と言っても、映像美!李屏賓の画を一番楽しみにしていたのだけど、予想以上の美しさ。

舞台が大正時代なだけに私のツボに入りまくり!印象的なカットを見るたびウットリ。。

いいなぁ。いいなぁ。あんな世界に浸りたい。

そして、岸田今日子さん、大楠道代さん、若尾文子さんの奥行きある演技が主役二人をガッチリと支えていて、ひと際輝いていた。

岸田さんの最後の微笑み。ほんの一瞬だけなのに、色んなものを含んでいるようでゾクッとした。いやー、すごい存在感やわ。

三島文学を行定監督がどう料理するのか興味のそそられるところだったのだけど、意外としっかりまじめに作ってあって、びっくりした。

監督が「これは泣くための映画じゃない。文芸作品を今の若い人にも観てもらいたい」と言っていたのが、なんかうなずける。

たくさんのヒットを飛ばしてきた監督だから、あえて高いハードルに挑戦したんだろうなぁ。

原作を忠実に表現しようとしすぎて、ちょっと窮屈になってたり、物足りなさもあったけど、今までの行定作品の中では一番好きかも。

映像だけでももう一回観たい。


そのあとの「SAYURI」が・・(笑)


まぁ、最初っからファンタジーの日本が描かれてるのは分かっていたんだけど、コレ、日本人にはどうにも評価しがたいんじゃ・・?

ハリウッド映画だもの。エンターテイメントなんは分かる。うん、分かる。

台詞が英語なのも、中国人が主演なのも、舞妓と芸者と花魁の区別がついてないのも、髪型や着物の着方がヘンなのも、その他ツッコミどころ満載な個所はとりあえず目をつぶるとして。


あのチャン・ツイィーの摩訶不思議な踊りは一体・・。

コ、コンテンポラリーダンス?ドリフのコント?魔女の儀式???

笑うところなのか笑うべきでないのか激しく戸惑ってしまった。(いや、絶対笑うとこやんね?アレは)

日本の踊りの要素のどこをどういう風にとったらあんな踊りが出来上がるんだろ。


「キル・ビル」は究極のB級映画として割り切って楽しめたし、「ラストサムライ」も実際は違うけどある意味本当の日本よりも美しく描いてくれていたし、見方がちゃんと定まっていたわけだけども・・。

「SAYURI」はえらく中途半端な気がした。どうせやるならもっと異次元に連れてってくれればいいのにー。


あれを観てアメリカ人は

「オゥ、ジャパニーズビューティ!グレイト!ワンダホー!!」

とか言うのだろうか。なんだかなぁ。


日本の役者陣はとても健闘していたし(なかでも子役の女の子と桃井かおりさんがとてもイイ)、チャン・ツィィーはじめ中国人のキャストも演技は良かったと思うのだけど、作品を観て目を見張るほど美しいとも面白いとも思えなかった。


ドイツドラマをやっていた時にも感じたけど、日本の本質的な美や繊細さを理解するのは、やっぱり向こうの人には無理なんだろうな。

自然を映すときの色彩や、光の取り入れ方ひとつとっても感覚が全然違う。

観終わって、「春の雪」がえらく素晴らしい映画に思えてしまったのでした。