死ぬまで未完成 | 吾郷水木生オフィシャルブログ『アゴーのCafe俺』

死ぬまで未完成


昨日、朝早くに父からショートメールが届いていました。

父は僕の誕生日を忘れる年もありますが、

今年は心身の心配をいつも以上にしてくれているので、気にかけてくれています。


いつだったか、僕が機内モードにしたまま忘れて過ごしていた一夜の間に、「連絡がつかない!自殺したんじゃ…」と、親友の職場にまで電話した日もありましたから…(大反省)



僕は僕で、不眠症や不安障害からくる“不安”に押しつぶされそうな気持ちをいちいち伝えるわけにはいかないので、

そういう下がりがちな夕方にこそ、父に電話を敢えてかけ、明るい声で

「その後 変わりない?」と偉そうに(笑)言うようにしています。

「ミキはどがだ?」と聞かれると

「元気、元気」と答えます。


親が僕になってほしかった職業の、公務員や医者にもなってあげられなかったし、

きっと本当はずっと楽しみにしていた孫の顔も見せるどころか、まさかの未婚のまま心配をかけたままです。

経済的に迷惑をかけることはなくても、父を援助することも今はもう出来ていません。

僕に出来る唯一の親孝行は

「元気にやっとるよ」

「幸せだけんね」

と、伝えることしか残っていません。

恥ずかしながら。


実家のことも振り返れば、産まれてから上京するまで色んなことがありました。

気が狂ったような酒乱の叔父を中心に、修羅場のような瞬間が季節問わず時間問わずどれほどあったでしょう。

保育園の頃から上京するまで、叔父が飲酒して大暴れする夜や、どこかの悪い仲間と大喧嘩して帰ってきた真夜中に、全員叩き起こされ、怒鳴り家のものは破壊し、火をつけようとしたり、包丁振り回したり、僕と祖母がその標的でした。

弱いものに噛みつく、最低最悪の酔っ払いクズでした。

何故か翌日に、僕が離れの叔父の家の勝手口を少し開けて、学校に行く前に泣きながら「おじさん、ごめんなさい」と言わなければ、叔父は恥ずかしさを払拭できない弱く愚かで哀れな人でした。

夜中に父は押し入れに隠れて僕を護ってくれないし、

翌朝は祖母が「ミキや…頼むから謝ってきてくれや」と。

祖父はただただ黙ったまま。

あの家はなんだったんだろう?と、今だに解けない謎みたいに捉えているときがあります。


本当に我が家は悪い意味で一風変わった家でした。

近所でも噂だったと思います。

色んなことを覚えていて、何より僕を庇ってくれなかった父を許せなくなる思い出も多々あります。

僕自身も中学高校時代は生意気な口をきいた憶えもありますが。。


それでも、父は懸命に働いて

衣食住に不自由なく育ててくれたこと、

難病の息子をそれこそ大金叩いてまで上京させてくれたこと、僕はそれに甘えたこと、

結局は僕の人生を尊重して上京後は好きに生きさせてくれたこと。

その感謝はこれから間に合ううちに何度も何度でも伝えていこうと決めています。

感謝も謝罪も一度きりでなく、互いに繋がってる間は死ぬまで何度と伝えていくべきだと思うのです。

相当の苦労や我慢が、父にもあったはずですし、

26歳で父親になった父もあの頃まだまだ大人なんかではなく、77歳になった今もおそらく大人ではないかもしれません。

51歳になった僕も、大人という自覚はありません。

家賃を含めた全ての生活費を自分で捻出し家事をこなして暮らしていくことが立派な大人だとも思いません。

未だに人間関係に躓いたり、逆に人間関係に励まされたり、死ぬまで僕らは未完成のままなのでしょうから。

未完成。ミカン星人。

なんつって。



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