帰国まであと2週間を切り
自宅でひたすら荷物整理の毎日を過ごすもだめです。

昨日は、夕方からサニーサイドの自宅で
サロン・ド・モダメ」の予約があったので、
昼間はひたすら片付けに明け暮れていました。

で、姉から借りているデカトランクに
ひらすら荷物を詰めていたところ、
廊下からなんか変な音が。

キシキシキシキシ。

うちのアパート、
第二次大戦前に建てられた古いビルなので
何かっつうと揺れます。
上の住人がドタバタすれば揺れるし、
ビル内で工事なんてしてたらすぐに大きな振動がくる。

で、音のする廊下に出てみたところ、
廊下に置きっぱなしのルームメイトの家具が
壁に当たってやたらキシキシ鳴っている。

また、上の住人かなあ…。

(上の住人、日本人の若いカップルなのですが
とにかく毎日足音とかがすっごくうるさくて、
運動会並みの激しい謎のドタバタがよく聞こえる。
ブートキャンプでもやってるとしか思えない。
あまりにも酷いのでオーナーに苦情を言ったこともある)



それにしても、
キシキシ家具が鳴っている。

自分もゆさゆさ揺れる。




おや?



おやおや?



この揺れ、知ってる。





地震だ!!!


いやいや、NYで!?
*NYは地震が滅多にない地域です





Oh nooooooo!!!







しかしここは日本人、
避難訓練に慣れているので、

揺れが来たらまず家のドアを開ける。


避難路、確保。よし!!


(ちなみに、アメリカでは殆どの扉が
内側に開くようになっている。トイレの個室も。
日本は逆。外側に開く。
いざ地震という時に体当たりして扉が開いたり、
人がパニックに陥った時に外に出られるのは
やっぱり外開きだと思うのは私だけ?)




ゆさゆさゆさ。




揺れがまだ続いている。


いきなり本震とかドカーンときたら
この古いビルではもう間に合わないかも。


よし、ビルの外に出るぞ!!


とにかく鍵と携帯だけ持って
外に階段で素早く避難した!!!




地上にでると、同じアパートに住む妊婦さんが
一人だけ同じように避難していた。



えええ!?

誰も地震気にしないんですか?





私も、果たしてこれが本当に地震だったのか分からなくなり
念の為にお友達のエミコさんに電話してみる。

しかし、なかなか電波がつながらん。
これって、日本で地震が起こった時と同じ状況やん。


で、なんとかエミコさんに繋がったら
「今、地震あったね。47階、すごく揺れたわー
と言われて、ああやっぱりこれは地震かと再確認。

エミコさんのオフィス、
既に全員避難して誰もいなくなってしまったらしい。
(同じフロアには、地震の経験がないアメリカ人ばかりで
みんな超ビビってあっという間に外に出て行ったんだとか)

しかし、
避難の際に全員がエレベータに集中。

混雑でなかなかエレベータに乗れないという
避難ラッシュがしばらく続いたそうだ。



地震の際には、
エレベータを利用しない




日本では常識と思えるような基本事項ですら
こっちの人たちは知らないのでしょうか。


(エミコさん曰く、オフィスでの避難訓練では
ちゃんと階段を利用するように練習してた
らしいので、
単純にみんな忘れてパニックになっただけという噂も)


そんな中、
優雅にオフィスのデスクの上で電話中のエミコさん。

あなたも避難した方がいいんじゃ!?

という突っ込みはさておき、
しばらく話した後、やっと家の中に戻って来た。


エミコさん曰く、
NY在住20年で、こんな地震は初めてだとか。



その後、CNNとかNY Timesとか見まくってたら
30分後くらいからようやく情報がちらほら出て来た。
(日本みたいに、1分後に地震速報とかがない)

http://www.cnn.com/2011/US/08/23/virginia.quake/index.html?hpt=hp_bn1

震源はヴァージニア州の北部。
マグニチュード5.9。
震源の深さ、たったの3.7マイル(約6km)



NYからエラい遠いやん!!!


計算してみると、
たぶん震源からNYまでは500km以上は離れてると思う。


しかしNY近郊が震源地じゃなくて良かったです。
NYは、マンハッタンからたった50kmの距離に
古~い原発もあるので、地震がきたらヤバいです。
でも、これからも余震の恐れもあるし
油断はできません。

そもそも、NYの耐震対策はとっても遅れていて
耐震設計されてるのなんて新しいビルだけだろうし、
老朽化したビルも多いし(うちのアパートも70年くらい経ってる)
100年の歴史を持つ名物の地下鉄も、
地震対策とかされてるとは思えないような代物。

ですから、日本とは別の意味での恐怖でした。
もしも大きな揺れがきたら、この街が崩れるんじゃないだろうか。
一瞬、そんなことが頭をよぎりました。

さらに、東海岸の人たちが、いかに地震に慣れていないかも
ニュースなどを見てよく分かりましたし。
(エレベータで避難するあたりからして…苦笑)


幸いなことに、今回の地震は震源もNYから遠く、
また、実際の揺れも恐らく震度2くらいな感じでしたが
NYでは絶対に来ないと思っていた地震が来たことで
やはり日頃の備えはどこにいても必要だと実感させられました。
(なお、こっちは日本の震度スケールを使ってないので
マグニチュード以外の情報が入ってこない=震度が分からん)


まさかのタイミング、まさかの場所で、
災害は起こるものです。
帰国前で少し気が緩んでいましたが、
少し気を引き締めようと思ったもだめでした!!



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最後に、少し長くなりますが、
ちょっと真面目に地震のコトを書きます。

今年の3月、もだめはNYにいました。
あれだけの大きな地震と津波が、
まさか海外にいるときに日本を襲うだなんて、
思いもよりませんでした。
ちょうど春休みに突入した一日目の出来事でした。

想像を絶する映像がNYにもどんどん入って来て、
自分はニュースを見るだけで何もすることができず、
海外に来たことを初めて悔やみました。

幸いなことに、家族も友人知人も無事でしたが、
それでも、他人事にはとてもじゃないが感じられなかった。
日本にいる全ての人が悲しみや不安で
苦しい日々を過ごしていたことと思いますが、
海外にいても気持ちだけは一緒です。

同時に、私の大切な人達に何かが起こった時に、
すぐに助けに行くことができない距離に
自分がいることを実感させられて、怖くなりました。

いつもは、スカイプで顔みながら電話して、
距離なんて感じることはないのに。

春休みの間、遊ぶ予定をほとんどキャンセルして、
ひたすら家に閉じこもってニュースを見続けていました。

結局、家にいたところで何ができるわけではないし、
日本にいたってNYにいたって、私が無力なのは変わりませんが、
それでも、どうしても家を出ることができなかったです。

今まではそんなことなかったのに、
夜寝る時に電気を消すことが怖くなって
しばらくの間、一晩中明かりをつけたまま寝ていました。

その後、続く原発のニュース。
チェルノブイリの事故も記憶に鮮明に残っていますが、
まさか、こういう原発の危機が日本で起こるなんて
やっぱり考えたこともありませんでした。
津波も地震も天災。でも、これは人災だと思っています。
見えない放射能への恐怖は、計り知れません。
私の友人の旦那様が、震災直後から福島原発にかり出されて
今でも過酷な作業を強いられています。(もう5ヶ月近くも)

自分は何の不自由もない場所で、
ご飯も水も電気もちゃんとあって、
そういう生活を送っていることに罪悪感もあり、
しばらくの間、とにかく情けなかったです。

震災から半年経って、
もだめはようやく日本に帰ります。

金持ちだったら、ソフトバンクの孫さんみたいに
バーン!と100億円とか寄付できますが、
必死に働いて貯めたなけなしお金すら
NY留学のために使い果たしてしまって、
大きな金額の寄付もできません。

この半年、日本を忘れる日はありませんでした。
これは本当です。

で、時間をかけてようやく辿り着いたのが

日本に帰ったら身体で返そう。

という考えです。

もだめは貧乏です。
でも、もだめは健康で力持ちなのが取り柄です。
(二の腕は女子プロレスラー並!)

だから、肉体労働で返したいと思っています。

もだめの旦那さんが知人を訪ねて南相馬市に
ボランティアに行って来ましたが、
もだめも帰国したら被災地で労働してくるつもりです。
小さなことしか出来ないかも知れませんが、
何もやらないよりはマシです。


地震の後、イタリア人のクラスメイトのアンドレア君から

「地震のニュース見た。
 日本人はどうしてあんなに落ち着き払ってるんだ?
 不自由な避難所生活でも皆が礼儀正しく、
 順番を守り、トイレもキレイに使っている。
 これがイタリアでおきたら、暴動になるよ。」

と言われました。

彼は、地震関連のニュースを見て、
日本の文化と日本人の国民性に深く興味を持ったらしく、
いつの日か日本に旅行しにいくと決意したそうです。

何より、これだけの震災が起きて皆が日本に行くことを
敬遠している中、日本に行きたいと思ってもらえたことが
嬉しかったです。


先日のなでしこJAPANの優勝の際に、
日本の地震からの復興となでしこの優勝を絡めた記事が
NY Timesに掲載されていましたね。
現状、復興にはまだまだ程遠いでしょうし、
失われたものたちは二度と戻ってきません。
だからといって、立ち止まっては何も始まらない。

だから、もだめも沢山肉体労働できるように
元気でいなければ、と思っています。


アンドレア君がいつか日本を訪れる日が来た時に、
今よりも、少しでも日本が元気になっていますように。

(長文失礼しました!!)