思えばここ最近、台湾ドラマを観なくなっていました。
若い人向けの青春群像劇やイケメンCEOと普通の女の子(演じてるのは女優さんなので容姿は普通以上)のシンデレラストーリー…的なドラマが多く、そもそもそれらの作品のターゲット層から外れてる上、あまりそういうドラマが好みではない(どこの国のものでも)ゆえ、「これは面白そうかも」と思って観始めても1話から先に進めないのです。
しかし、近頃では台湾ドラマ界も社会派ドラマやリアリティを追求したものが登場しつつあるようです。
中でもこの作品は「絶対観よう!」と思っていたもの。
(この記事の画像は全てお借りしたものです)
いつも拝読させて頂いているブログ(アジア圏のドラマや映画、エンターテイメント全般についてのブログ)で取り上げられていてすごく面白そうだったのと、原作者や監督、主人公の女性が同世代(台湾では民國60年[1971年]から民國69年[1980年]に生まれた人の事を6年級生というのだそう。まさに私も6年級生なのです)で、台北と台南(約30年前と現代)を舞台にしたというとても興味深い作品だったからなのでした。
↑原作本。これはシーズン2開始の記念版だそうです。
日本語訳バージョンもぜひ!
で、観よう観ようと思っていたこの作品、Amazon primeビデオで観る事が出来るのでずっとマイリストに入れていたのですが、いつでも観られると思うとなかなか観ないのが私というずぼら女…。
そこで救世主登場!
拙ブログをいつも温かく応援してくださるへぶしんさんが、メッセージにて「BSで放送が始まるよ!」と教えてくださったのです(へぶしんさん、ありがとうございます!)。
しかも、毎日録画して観るのにちょうど良い1話30分(実質20分程度。実際の1話分を放送では2回に分けていました)。
そして、やっぱり思った通り見始めたら止まらない面白さ!
これでようやく観たかったこの作品を完走する事が出来たのでした。
というわけで、今回はこの「おんなの幸せマニュアル〜俗女養成記〜」をご紹介していきたいと思います。
①ストーリー
「永遠に台北っ子にはなれない」と感じながら台北で暮らす陳嘉玲は台南出身のアラフォー女性。
そんな嘉玲には4年間同棲している煮え切らない恋人あり。
仕事は社長秘書ですが、社長とその妻にくだらない私用でこき使われる毎日。
↑パワハラ以外の何物でもない…?
くっだらない私用を押し付けたり、「痩せ過ぎだからもっと食え」とセクハラ的な失礼発言をかましてくる社長。
ある日、元恋人の結婚式に招待された嘉玲ですが、かつては冴えない男だった元恋人が事業で成功してイケメン(?)に、新婦は何と人気作家だと言うではありませんか!
動揺し、つい飲み過ぎた嘉玲は式でも醜態をさらし、帰宅後恋人には「結婚して」と口走ってしまいます。
そして、そのまま恋人と結婚の準備をする事に…。
「これで良かったのだろうか?」という思いが去来する嘉玲。
そんな時頭に浮かぶのは台南での少女時代なのでした…。
そんな感じで始まるこの物語は、この後紆余曲折あり、結局嘉玲は台北での生活をリセットし、台南に戻る事になります。
そこで待ち受けていたのは新しい人生?それとも…。
②登場人物
・陳嘉玲(謝盈萱・呉以涵)
↑左は少女時代の嘉玲役の呉以涵、右が謝盈萱演じる現代の嘉玲。
このドラマの見どころの1つは過去パートと現代パートを行ったり来たりする所です。
台北で暮らす嘉玲は先述した通り社長秘書として働き、結婚が近い恋人がいました。
しかし、いざ結婚が決まると母親の言いなりで頼りない恋人に「これでいいのか?」という疑問が湧きまくる嘉玲。
そしてとうとうある出来事がきっかけ(本当にきっかけに過ぎない)で婚約を解消し、仕事も辞めて台南へ戻ります。
・江顯榮(溫昇豪)
嘉玲と4年間同棲している江顯榮。
私の個人的な意見ですが、アラフォー世代の女性と4年間も同棲していながらその先の結論を出せない顯榮はやっぱり優柔不断で頼りない男性であるように思います。
いざ結婚が決まった途端母親が住むところからウェディングドレスまで(きっとそんなの氷山の一角)口を出す始末。
まだラブラブで若く、勢いがある時期ならともかく、私もきっと嘉玲と同じ結論を出してしまうかも知れません。
顯榮を演じた溫昇豪さんは、台湾ドラマ「結婚って幸せですか」で妻の従姉妹と不倫する夫の役を演じた俳優さんです。
いや、そう書くと悪意あるかしら(汗)。
大好きなドラマで当時何回も観ていたドラマですが、あの夫は未だに許せない(笑)。
溫昇豪さん自体は日本でもファンミーティングが開催されたほど人気のイケメン俳優さんです。
・嘉玲の家族
左から嘉玲の祖母・陳季月英(陳さん+李さんが合体した名字?)、祖父・陳義生、嘉玲、母・呉秀琴、父・陳晉文。
この家族が…すごくいい!
嘉玲は時々お小言を言われたり、カミナリを落とされたりしていますが、家族みんなに愛されて可愛がられています。
写真には写ってませんが(この当時)赤ちゃんの弟・陳嘉明がいます。
嘉明は嘉玲が台南に戻ってきてからの現代台南パートで活躍!
↑パッと見「2gether」のグリーンちゃんに似てる!と思った嘉明役の宋偉恩さん。
台湾のBLドラマ「あの日〜HIStory3那一天」に出演されてたんだとか。それも観ないと(BL好きの血が騒ぐ)。
嘉明も同性愛者という設定(写真に一緒に写っているのがパートナー←嘉玲の同級生)なのです。
・蔡永森
早逝した友人の代わりに市議選に出る永森は嘉玲の幼なじみ。
そして嘉玲が初恋の人であったよう。
そんな永森の市議選を手伝う事になった嘉玲です。
↑元秘書の嘉玲にとってはややこしい市議選のスケジュール管理もお手のもの!
この永森、子ども時代はめちゃくちゃ可愛いのに時の流れは…って感じで現代パートではリアリティあり!な中年男性(イケメンだった面影はある)のお姿に(私はかっこいいと思うけど)。
↑こちらはシーズン2(もあるんです!)の画像(シーズン1の少年時代の永森の画像が見つからなかった…)。
右端の永森、美少年ですよね?
すでにバツイチであるという永森ですが、ラストでは…(まぁ、隠す事もないか)?
↑元彼(顯榮)と蔡永森に挟まれてにっこり、の嘉玲!
③台南
私があまり台湾ドラマにハマれなかった理由として、台湾の街の描かれ方がちょっと…、という理由がありました。
出てくる街がやたらお洒落だったり郊外だったりして、私が知ってる台湾(台北)の街ではなかったからです。
もちろん、そういう街が台湾にあるのは知ってるし、ドラマの制作者さんたちが台湾の街をそういう風に描きたかったのだと思いますが、それは私が画面を通して見たい台湾の街ではありませんでした(あくまでも私の好みね)。
*今でもファンが多いと思われる「イタズラな恋愛白書」には私たちにも馴染み深い台北の街(夜市も!)や桃園空港が登場します。
私も大好きな作品!
しかし、このドラマに登場した台北の街はともかくとして、台南の街(特に嘉玲の少女時代の)が素晴らしい。
↑ロケ地マップ。
台南の郊外で撮影されたようです。
首都台北ではなく地方都市である台南なので、同じ頃の日本と比べてもノスタルジーを感じさせる懐かしい街並みです。
↑お父さんとバスでお出かけ。
私もこんなバスに乗ってたよ〜。
台南が台湾の古都ならば、私は日本の古都である京都出身ですが、京都市内の中心部ならまだしも、少し郊外に行けばまだまだあんな感じの雰囲気だった80年代。
嘉玲のおばあちゃんのように「冷蔵庫に入れておけば傷まない」って私の祖母も言ってたしな(傷むよ!)。
あと、このドラマの台南パートで使われてる言葉は台湾語(特に嘉玲の少女時代)です。
時々台湾(特に地方)で周りの人が全く何を言ってるのかわからない時がありますが、まさにあんな感じでちょっと懐かしい気持ちになれました。
嘉玲の少女時代はまだ戒厳令下という事もあり、学校でも普通語(いわゆる標準語)を話すよう指導され、台湾語を使うと告げ口されたりもしていました。
*ドラマ内で蒋經國が亡くなったと報道される場面が出て来たり(大人たちは無関心)、おじいちゃんがかって白色テロと呼ばれる時代に国民党に連れて行かれた事がある、という当時を描く貴重なエピソードも。
④台湾での評判・評価
2020年の金鐘奬で短編ドラマ部門のドラマ賞、助演女優賞(嘉玲の母役の于子育さん)、編集賞を獲得したこの作品。
現地でもかなり人気があるようで、すでにシーズン2も制作(放送済み?)。
↑赤ちゃんだった嘉明が成長してる!嘉玲も中学生に。
女性の、いや家族に起こる出来事を淡々と描いたこの作品は外国人の私たちが見ても「あるある!」と頷けたり、笑ったり涙したり出来るもの。
嘉玲が出会う人生の岐路は、私たちにとっても他人事ではないような気がします。
*SNSでちらりと目にしたこんなご意見。
台湾人の夫をもつ日本人女性です。
「自宅でもあんな感じで台湾語でがなり立てられてるのに、ドラマでまで観たくない」
同じ国の者同士で結婚してもいろいろあるのに、外国人の義理家族を持つとさらに大変なんだろうなぁ〜、と考えさせられました。
女性とは?結婚とは?そして人生とは?
それらにまつわる難題に出会った時、ふと立ち止まって思い出すのは嘉玲のように少女の頃の自分や家族なのかも知れません。
↑台湾ではこんな麺や調味料も売られてるらしい。欲しい!!
とにもかくにも、シーズン2も楽しみな「おんなの幸せマニュアル〜俗女養成記〜」のご紹介でした!
長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました。