今回、初めての台北旅行をする友人達に「どこか自分たちだけで行くにはわかりにくい、行きたい場所はないか」と事前に訊いてみた。
すると、初めは「特にない。美味しいものを食べてマッサージしたい」(それほどお疲れなのであろう…)と言うような返答だったが、後ほど「九份へ行ってみたい」とのご希望があった。

初めて行く国ではどこに行きたいか?どこに行けば良いのか?という事が意外とわからないものだ。
私ももちろんそうだった(完全に余談ですがそういう方のためにこのブログを書いています。少しはお役に立てれば良いのですが…)。
私はそういうことを調べるのが好きというか、趣味なので前もって行きたい場所や店を調べまくってしまうから、出発直前にはそれらの場所のある程度候補があるのだが、それも実際行ってみるまでどうなのかわからない。

そんな私も初めて台湾に行く事になった時、九份へはぜひ行ってみたいと思っていた(詳しくはこちらをどうぞ。九份への行き方なども書いています)。
他の友人にも「もし台湾に一緒に行く事になったら、九份に連れて行ってね」などと言われる事もよくあるし、いくら最近は十份での天燈上げに押されているとは言え、やはりあの風景は一度は見て欲しい。
私自身も行くのがめんどくさくて混んでる九份の、あの風景が観たくて、そして茶藝館でぼんやりする時間が欲しくて出かけてしまう。

と言うわけで、友人達を迎えに行くためにタクシーに乗った。
友人達のホテルは南京東路に面した、松江南京と南京復興の間辺りに位置するグリーンワールドホテル南京だった。
私が滞在しているビーハウスからは南京路に出たら後はひたすらまっすぐ東へ行くだけなのでタクシーだとすぐだ。
「ロビーで待ってるから、準備が出来たらゆっくり降りて来てください」とLINEし、ロビーのソファで涼しさを楽しんだ(この日は湿度が非常に高かった)。
すると、友人がロビーまで迎えに降りて来てくれ、お部屋にお邪魔させてもらう事になった。

私は普段台湾で滞在するホテルを選ぶ時には小〜中規模のデザインホテルを選ぶ事が多く、こういうシティホテルを選ぶ事はあまり無いのだが、やはり綺麗だしきちんとしている(もちろん、デザインホテルも綺麗だしきちんとしてるが)。
友人達は3人での旅なので、シングルベッドが3つあるトリプルルームにこだわって選んだそうだ。
やはり同じ3人部屋でもタブル一台にシングル一台と言う部屋は友人同士だと気まずいと思う。
*しかしそういうタイプの3人部屋もよくあるので要確認!

ここでようやく友人のママ友さんたちとの初対面を果たす。
では、全員揃ったところで簡単に今回の旅の仲間をご紹介したいと思う。
まずはさちこさん。
SNSを通じて知り合ったのだが、その後実際にお会いして仲良くして頂いている。
普段はお忙しいのであまり会えないが、LINEで時々連絡を取り合っている。
何でも話せる大事な友人である。
そしてさちこさんのママ友さんのIさんとNさん。
子供さんが野球チームで一緒だったというお三方。
ようやく子供さんが成長され、こうして旅行に出られるようになった為、台北旅行を計画されたのだそうだ。
3人とも素敵な働くママさんたちである。

その台北旅行の計画を私はまだ日程などが決まってない頃に教えてもらっていたが、実は私も「今年こそ6月頃に台北にひとりで行きたいなぁ〜」と思っていたのだ。
しかし「6月は無理かな〜。7月に行こう」と思って飛行機などを検索していると、まさに私がこの辺で行こうかなと検索している日に行く事が決まったとさちこさんが連絡をくれたのだった。
だけどせっかくの記念の旅行なのだから、あまりお邪魔はしたくない。
なので冒頭にも書いたように「どこか行きにくそうな場所で行きたい場所があったら」、差し出がましいがご案内しようと思ったのであった。

IさんもNさんも温かく迎えてくれて、すぐ打ち解ける事が出来た(実は私、いい歳して人見知りなのだ…)。

「それでは行きましょうか」とロビーに降り、一応フロントで九份行きのタクシーを呼んでもらえるのかどうかを訊いてみた。
すると四時間だかでチャーターするプランを説明されたので、諦めて自分で探す事にする。
ちょうどホテル前に停まっていたタクシーがあったので運転手さんに「九份まで行きたいが、値段はいくらか」と乗り込む前にいつものようにまず尋ねた。
予想通り「1000元」と言われたのでお願いする事にした。
走り出すと「着いたら2時間待ってるから帰りも乗らないか」と言われたが、2時間で戻れるかわからないのでお断りした。
この運転手さんは割と若めの男性で、英語も通じる。
あと帰国の際の桃園空港へ行くのにも、普通は1200元だが1000元で行くからね、と名刺をくれた。
*最近台北から桃園までタクシーで行く事はないが、確かに1200元だ。

この運転手氏の運転は私的には「普通」(台湾では)だと思っていたが、後部座席の3人はしきりに「運転が荒い!」と怖がっていた…。
私はもう慣れたので全く気にしてなかったが、確かに怖い事である。
しかし、高速に乗ってしばらくすると「虹が見える!」と言うので窓の外を見ると短めの、でもとても綺麗な虹が見えた。
実は初めて台湾で見る虹だった。感動。
しかし、写真を撮ろうとするがうまく行かない。
こういう自然のものはちゃんと撮れへんよな〜、と言うさちこさんに全員が同意した。

しばらく走ると瑞芳の駅前通りに出て来た。
電車(台鐵)で来た場合はここでバスやタクシーに乗り換える。
「ここまで来たらもうあと少しです」と言うと「えっ、もう!?」と驚いておられたが、タクシーだと本当に意外なほど早く着く。
われわれは今回ちょうど4人なので、タクシーで行く事以外の選択肢は無かった。

ぐねぐねと山道を登り、九份の基山街入り口近くに到着。
そこで私が運転手さんに1000元を渡そうとするとさちこさんが「あかん!」と言って払ってくれた。
その1000元は3人の共同の財布からのお金で、私は交通費は出さなくて良いと言ってくれる。
そんな〜、それこそあかんよ〜。受け取って!と言うも、3人とも頑として受け取ってくれないのでお言葉に甘える事にした。

雨がまだ時折ぱらぱら降っていたので、ちょうどその場にあったお土産やさんで折り畳み傘を購入。
しかし、これ以降雨は降らず使う事は一度も無かった…。

セブンイレブンの脇から基山街に入り、九份の街を散策。
平日だからそんなに混んではないが、それより閉まっている店が多い事に気付いた。
おそらく、この日の未明に台湾北部に接近した台風の影響で臨時休業している店が多いのだろう。
目当てのあの店は開いてるだろうか…。
しかし、相変わらずこの商店街ではわんこがうろうろしていたり、店の前で眠そうにしている。
あっ、あの店では飼い主さんに連れて来られたトイプードル(うちの愛犬も!)が家族がごはんを食べているのをお利口に待っている。
何て可愛いんだろう。
うちのチョコと同じぐらいの大きさだろうか?
早くも自宅が恋しくなる。


角を曲がった道沿いに「阿原」があったので入ってみた。
いや、元から要るものがあったから寄るつもりだった。
「ちょっと寄っていいですか?」と訊くと、皆さん快く了承してくださったので寄らせて頂く。
欲しいものは虫除けとシートマスクだった。
これから行く予定の九份茶房は屋外の席だし虫除けは必須だ。
それに滞在中も帰国後も使えるし。
虫寄せ体質(汗かき・酒飲み・太ってる)の私には虫除けは夏の必需品なのだ。
シュッシュッとスプレーすると冷んやりしてレモングラスのいい香りがする。肌に優しいのも良い。

マスクは前回台北で購入してとても気に入った、マスク後に塗るクリーム付きのシートマスク(アンチエイジングタイプ)だ。
これなら夜の入浴後に顔に貼り付けておいて、仕上げにクリームを塗れば夜のスキンケア終了である。
手軽だし、重くならないのでひとり旅にはもってこいだ。
4セットで990元とお高めではあるが、質も効果も高いから一度試してみて頂きたい(今回の旅で購入したコスメに関しては後日別記事にてご紹介します)。

阿原を出て、少し歩いた所に花文字を描いてくれる店があった。
IさんもNさんも描いて欲しい!と描いてもらう事にしたようだ。
どんな風に仕上がるんだろう?素敵に仕上がりますように。

花文字も出来上がり、基山街を散策し終え、いよいよ九份茶房に入る。


九份と言えば九份茶房か阿妹茶楼が有名だが、私は初台北旅行前に友人に教えてもらって以来の九份茶房派である。
入り口で4人である事を告げると外の席に案内してくれた。
しかし、この日はやはり台風の影響で風が強い!
いろいろなものを吹き飛ばされそうになりながらのお茶の時間となってしまった…。

注文を取りに来てくれたので、大好きな烏龍茶チーズケーキを3つとパイナップルケーキ(Iさんは乳製品がお嫌いなんだそうだ)、肝心の茶葉は思い切って高級な梨山烏龍茶に決定。
花の香りや蜜の香り、ミルクの香りがするお茶があるが、梨山烏龍茶は花の香りがするんだそう。
私はいつも阿里山烏龍茶を飲んでいたが、梨山の方がさらに花の良い香りがする!と店員さん。
上手いこと高い茶葉を売りつけられた気がしないでもないが、皆さんはそれにしたい!との事なので私もお相伴に預かる事にした。

お茶が来る前に虫除けスプレーを皆さんにも使ってもらう。
運ばれて来たお茶のセットと烏龍茶チーズケーキ!
相変わらずの絶品チーズケーキであった。
今回「試飲です」と東方美人茶を出してくれたが、今まで「東方美人茶も美味しいけど、やっぱり烏龍茶の方が好きかな」と思っていた私。
しかし、この東方美人茶がとても美味で驚かされた。
で、早速次の日台北で東方美人茶をまんまと購入。

まず一煎目は店員さんに入れてもらい、お手本を見せてもらう。
私は何回も見てるのに、また訪れる頃にはいつもすっかり忘れてしまってる…。
皆さん次々に茶杯を口に運び、香りを楽しんでいる。

「美味しい!それに花の香りがする!」

私も初めてこのお店に来た時、まさにそう思ったのだった。
その日は私の初めての台北旅行のまさに初日で、朝には大阪の自宅にいたのに、陽が落ちる頃には金色の光の中で、こんな花の香りがするお茶を飲みながら、海に沈んで行く太陽を見ているのが何だか信じられなかった。
そして、その時台湾が大好きになった事をはっきり覚えている。
さちこさん、Iさん、Nさんはどう思われたのだろう。
とても楽しそうにしてくれているから、私もホッとして嬉しくなる。

完全に陽が落ち、提灯に灯がともり出したのを見て九份茶房を後にした。

この階段、段差がバラバラなので足元注意!
夜になるのを待って、この風景を見なければ九份に来た意味がない。…と思う。
どれだけ「九份が物語の舞台ではない」と否定しても階段にはこんな子がいるし、オカリナで例の曲(数種バリエーションあり)を奏でまくっている…。
いつも階段で見送ってくれるこの子も定位置に。
元気が無いのが気になってしょうがない。
初めて来た日から5年経つが、あの時には帰ろうかと階段を降りようとした私たちに大きな声で吠えたのだった。
「帰らないでよ!」と言いたげに。

一番下まで階段を降り切って、再びタクシーに乗り込み、台北へ戻る。
車窓からは今度は夜の台北101が見えた。