ホテル「ビーハウス 台北」到着。
予約を確認してもらい、当然まだチェックイン出来る時間ではないので荷物を預かってもらう。
少し荷物を出し入れして預けたいと言うと、快くロビーのソファーに座らせてくれ、汗と雨で湿り気味の私にペットボトルの水をくれた。

小さくて可愛いホテル。
このホテルが大好きになりそうな予感でいっぱいだ(ホテルに関しては後日詳しく書きます)。
一息ついたので、早速出発する事にした。

今さっき来た道をまた地下街の出入り口に向かって歩く。が、その前にどうしても寄りたい場所があった。
MRT中山國小駅近くにある雙城美食街のそばの脆皮鮮奶甜甜圏の支店がホテルからすぐの場所にあり、本当はホテルに着く前に寄りたいぐらいだったが、荷物があったので後回しにしたのだった。
このお店は店名通り「カリカリミルクドーナツ(私の適当な意訳)」が名物のドーナツ屋さんである。
台湾という国の粉もんは押し並べて絶品なのだが、何とドーナツまでもが絶品なのだ。
実は今回のホテルを決めた理由の何パーセントかは「このドーナツ屋さんが近いから」という、我ながら呆れた理由だが、この店のドーナツを食べた事がある人なら同意してくれる人も多いはずである。

先ほど通った時は誰も並んで無かったが、少しの時間でもうこの状態。

ホテルに向かう時には誰も並んで無かったが、もうドーナツ待ちの人で列が出来ていた。
列の進みはそんなに遅くはないが、わりと皆さん複数買いして持ち帰られるので早くもない。
10分弱並んでドーナツを無事ゲット。


まだ小雨がパラついていたし、他の人はオフィスや家へ持ち帰るからか、誰もこの場で食べてなかったが私はこの場で食べるしかない。
本店の方だと割とみんなその場でパクついていたが、仕方ない。
とりあえずホテル(安宿系)の誰もいない入り口の前で熱々のドーナツに噛り付いた。

美味い…!!

前に食べた時も美味しかったが、今回は正真正銘今揚げたばかりのドーナツ(前は冷めてもないけど熱々でも無かった)なのだ。
表面カリカリ、中はふわふわでもちもち、そして何やら美味しいミルク味の粉がまぶしてある。
はっきり言ってこの手の食べ物の中ではこれがナンバー1だと思う。
もう一回並んでおかわりしたかったが、また滞在中に行けばいいやと我慢した(実際は行けなかった…)。

再び地下街に下り、案内板の「→捷運 MRT」の文字を頼りに歩いた。
この地下街はなかなかディープな雰囲気で、ゲームやアニメのフィギュアが売られている店や、ゲームセンター的なエリア、メイド喫茶に執事喫茶(入りたかった)があるかと思えば、マダム向けアパレルショップ、若い子向けアパレルショップ、パワーストーンの店、占い、靴、傘、ミリタリーショップ、飲食店…はっきり言ってカオスである。
日本だとこの手の地下街は寂れてそうなもんだが、何の何の。
人通りも多いし、とても賑わっているのだ(しかもこの日は平日)。

目と心が忙しく動いていたその時、ようやくMRT板南線・淡水線の改札を発見した。
淡水線のホームに下りると、ちょうど行く方向のMRTが来た。ラッキー!
台北駅から2つ目の中正紀念堂駅で下車した。
実は私はまだ一度も中正紀念堂を見に行った事がないのだが、この日もそちらはスルー。
2番出口から地上に出て、歩き始めた。

2番出口から歩いてすぐの場所にある大人気の「金峰魯肉飯」はこの日も長い列が出来ている。
私もチラッと寄って行こうかと思ったが、この後食べられなくなったら困るので泣く泣く諦めた。
スマートフォンを取り出し、Googleマップで目的地への道のりを確認しながら慎重に進む。
大げさかも知れないが、私はそれほどに方向音痴なのである。
交差点に来るたびにどこの角に何の店があるかどうかをチェックしながら歩いていると、お目当の店の看板が見えて来た。

良かった、間違えずに来られた!

目的地は小籠包が名物の「黄龍荘」。

ドアを開け店内に入ると親切な店員さんが座る場所(先客のご夫婦と相席だった)から何から何まで教えてくれる。
ここまでの道のりが大変蒸し暑かったので、ガンガンに効いてるエアコンに感謝しながら、思案し始める。

さて、注文は何にしようか…。

肝心なところがピンボケで申し訳ありません。
看板商品の小籠湯包は10個入り140元。お安めの地元価格(鼎泰豊などの高級店は200元〜)。

とりあえず小籠包は絶対食べるとして、正直もうそれだけでお腹いっぱいになりそうなんだよなぁ…。
でも何か一品だけってちょっとあれだよなぁ…。
あっ、あんこの小籠包(豆沙小包)がある!
あれ好きなんだよなぁ、食べたいなぁ…。

と私のこの時の心の声を書き出してみたが、結局小籠湯包と元盅鶏湯(鶏のスープ。大好物)を注文した。
何か汁気たっぷりな二品だが、台湾ではそういう湿度があるものをゆるゆると食べたくなるのは私だけか。
 ちなみに私が行った時は地元の方だけだったが、日本人観光客もよく来るため日本語メニューもあるので安心して頂きたい。

テーブルの上に用意されたお茶を飲んだり、生姜と酢でつけだれを作っていると元盅鶏湯が運ばれて来た。

元盅鶏湯。

まずは一口、とすする。

「うまぁ〜い…」とため息と共に変な声を出してしまった。
朝早かった事やひとり旅での緊張が、スープでたちまち解され、癒されて行くようである。
中の鶏肉は骨は多いが、よく煮込まれてホロホロと肉から外れる。
このスープ(元盅鶏湯)は小籠包のお店にはよくメニューにある。大好物である。
台湾ではスープを積極的にオーダーしたい。

そしていよいよ小籠湯包のお出まし!

皮からたっぷりのスープが透けて見えた!

たぷたぷと音がしそうなほど、スープがたっぷり入った小籠湯包だった。
実は最近すっかり小籠包はご無沙汰だった。
もちろん、飽きたわけでも嫌いになったわけでも無く単純に小籠包を食べるとすぐお腹が膨れてしまうようになったからなのだ。
あと、味が濃い小籠包がきつくなった。
これが中年の現実。
しかし、「○○の小籠包が美味しい」などの情報を聞くとやっぱり食べてみたくなる。

今回なぜこの「黄龍荘」(いい店名だなぁ)にしようかと思ったかといえば、ここの小籠包は味付けがあっさりしてると書いたものを読んだからなのと、この店があるのが「牯嶺街」だったからなのだった。
そう、エドワード・ヤン監督の映画「牯嶺街少年殺人事件」の舞台となった牯嶺街である。
ようやく長年の空白の時期を経て昨年アジアン映画祭や映画館で短期間ながら上映されたり、DVD・Blu-ray化されたこの作品を私もずっと観たいと思っていたが、ようやくこの旅に出る前に観る事が出来たのだ(Amazonプライム・ビデオのレンタル)。
まぁ、映画の舞台となった時代よりはかなり時が経っているので当時の面影など無いに等しいであろうが、来られただけで何となく感無量だった。
ちなみに主役の張震は私と同年代(同じ年生まれ)の俳優さんで、今やレッドクリフなど大型作品にも出演されていて大活躍だ。

小籠包に話を戻すが、まずはそのまま口に入れるのが流儀だ。
熱かろうが何だろうが、割って食べる事は邪道だ。
せっかくスープをこぼさないよう職人さんが技を駆使して包んでいるのに、それをレンゲの上で先に割っちゃうとはまぁ…!
テレビの紀行番組などでそうやって中のスープの量を見せるからそうする人や、冷ますためにやる人が多いのだろうが、口の中に入れて初めて皮が破れてスープが出てきて渾然一体となるのが小籠包の醍醐味ではないかと思う。
台湾在住のコーディネーター青木由香さんや「台湾のたびしおり」著者のayacoさんもその食べ方を推奨されているが、私も絶対にその方がいいと思う。
「NO破き派」なのだ。

そしてつけだれは無しor生姜+酢のみが好きなのだが、ここでハプニング発生!
お店の人が親切にも私の生姜+酢に醤油を足してくれたのだ…。
ちょっと「あ〜あ」と思わなくも無かったが、この店の小籠湯包は前評判通りあっさりした味付けだったので、醤油ありでも美味しかった。

久々の小籠包をNO破きで堪能していたが、やはり7個目ぐらいから「もうお腹いっぱい」と胃が告げてくる。
私を見た人はきっと「嘘やろ?もっと食べられるやろ?」と思われると思うが、嘘じゃない。
いや、ここに来るまでにドーナツも食べてるし、スープも飲んだし、それに加えて小籠包もすでに7〜8個食べてるから、全然「よく食べる」方だと思うが、とにかく前はもっと食べられたのだ。はぁ。
*ひとり旅で色々な種類の小籠包を楽しみたい場合は一種類につき5個入り、という半分サイズのものがある店を選ぶと良い。
他にも後に登場する店に「おひとり様用小籠包セット」がある。

お店の人も親切で居心地の良い黄龍荘(また行きたい)を後にし、どこかで休憩する事にした。
スマホも私も充電休憩だ。

牯嶺街の街並み。

さて、どこに行こうか。
ダンテコーヒーやらイカリやら、台湾ならではのチェーン店系カフェ(日本で言えばドトール的な)があれば良いのだけど…と思っていると、前方にモスバーガーが見えた!
「えっ!モスバーガー?何で?日本で行ったら?」って思われるかも知れないが、台湾限定メニューが楽しく、美味しい台湾モスバーガーなのである。
しかし、注文の時にちょっとしたミス。
フルーツティー(水果茶)を注文しようとしたのだが、その隣に書いてあった「台灣冰緑茶」というお茶を(要するに冷たい台湾緑茶)「これって台湾フルーツティー?これにしよう!」と早とちり&勘違いして注文してしまったのだった。
台湾限定には違いないからいいけどさ。

冷たくて美味しい台湾緑茶。
負け惜しみじゃないっ。

この辺りで友人からLINEで連絡が来始める。
実は今回、偶然にも同時期に友人&ママ友さん2人が初めての台北旅行をする事になったので、所々合流して案内する事になっていたのだ。
その友人から台湾に到着し、空港から台北駅に向かっているとのLINEだった。
彼女達が無事に着いた事にホッとし、私もそろそろホテルへ戻っておこうかなとモスバーガーを出た。

しかし…ここでやらかした事に気付く。
駅への道がわからなくなったのだ。
何で?ちょっとしか移動してないのに?
ここで元来た道をちょっと戻れば良いだけなのだが、「あっち行っても駅に戻れるんちゃう?」と思ってしまうのだ、私というおばはんは…。
しかし結局駅から離れて行ってることが判明したので諦めてタクシーでホテルに戻る事にする。

が、目の前には郵便局が。
前回の高雄旅行の際にもらったレシートのくじが当たっていたので交換して行く事にした(詳しくはこちら)。
郵便局の中はびっくりするぐらい日本の郵便局に似ていたが、やはりどこで受け付けて貰えば良いかはわからないので、職員の方にレシートを見せるとそこにある番号札を引くように言われた(日本の郵便局や銀行にあるお馴染みのあれですね)。
しばらく待っていると順番が回って来て、親切そうなおじさん(私から見たらお兄さん、と言うべきか)の職員さんにレシートとパスポートを見せると親切にどうすれば良いかを教えてくれた(レシートの裏に数ヶ所記入が必要)。
無事賞金である200元を受け取り、郵便局を後にした。

大きい通りに面していたのでそこでタクシーに乗ろうとしたが、折しも雨が降り出した事もあり、どのタクシーも先客ありだった…。
歩いてタクシーがいそうな場所まで移動。
ようやくタクシーを捕まえた場所にはMRT中正紀念堂の出入り口が見えていた…。

15分ほどタクシーに揺られホテル到着。
部屋のカードキーを受け取り、わが206号室へ。
ドアを開けると「狭!」と思わず声を上げるほどこじんまりした部屋だったが1人ならちょうど良い。
ここが今日から帰国の日まで私だけの基地だ。
スーツケースから服を取り出してハンガーに吊るしたり、洗面所に洗面用具やスキンケアコスメを並べたりして居心地良く設えてみた。

仕上がってみると、なかなかどうして使い勝手の良い部屋になったと独りごちて、友人達を迎えに行く準備を始める事にした。