この仕事に就いてから数え切れない程の患者さんやご家族との出会いと別れを経験してきました。
その時の出来事や想いを書きたいと思います★


病院という場では患者さんが元気になって退院していく別れだけではありません。
患者さんが亡くなるという避けて通れない別れもたくさん目の当たりにしてきました。


他人でも人が一人亡くなるという事がどれだけ悲しい事か。。
入院生活が長くなって仲良くなった患者さんや、お話をする時間があって色々思い出話やその時の病気に対する想いや家族への想いを話してくれた患者さんが亡くなった時。



夜勤をしていたある日の出来事です。
入院が長引いた90代の寝たきりのおばあちゃん。
息子さんとそのお嫁さんは献身的で毎日面会に来たり、個室だったので泊まることもよくあった。
その息子さんとお嫁さんとはよく看護学校時代のお話をしたこともあった。

真夜中のナースコール
「おむつ交換でたくさん呼んじゃってごめんなさいね」って謝ってきました。

私は「生理現象なんだし、おむつに出たものをそのままにしていたら気持ち悪いですからね!
看護学校の時に、課題で自分にオムツを当てて実際にその中で排尿をしてしばらくそのままでいて患者さんの経験をして患者さんの気持ちを理解してレポート提出をした事があるんです」

「やっぱりゴワゴワしてるし気持ち悪くて私もその時は早く取り替えたいって思ったので!経験したからわかりますね!だから呼んでもらって全然大丈夫ですよ!すぐ取り替えますから!」と。


その話がそのご夫婦には衝撃だったようでしたが、次の出勤の時にある物を頂きました!
凄く嬉しくて、10年経った今でも大切にしています。
時々私はこの手紙を見返しています。
この絵手紙はその時のオムツを当ててレポート提出した際の場面を絵にしてくれたみたいです。
裏にもメッセージが書かれていました。




本当に嬉しかった。息子さん夫婦の真心が詰まった素敵なプレゼント。今はメールとかの時代で手紙とかを書く事も減って来ているけど、わざわざ私の為に時間を割いて書いてくださった事に感動し嬉しい気持ちが溢れました。


そんな楽しい時間を過ごしたこともありましたが、その患者さんが最期を迎える日が来てしまうのです。
私はたまたま出勤だったので息子さんご夫婦と一緒に最期を看取る事が出来ました。


私はその時泣いてしまいました。
本当は看護師としてよくない事かもしれないけれど、亡くなった時に息子さんご夫婦と一緒に泣いてしまいました。
当時は先輩にプロなんだから一緒に泣いてないで遺された人の心のケアをしなきゃ駄目なんだよって言われたこともありました。


もちろん頭ではわかっています。
一緒に泣いてどうするんだって。
感情的になっていたら仕事も進まなくてスタッフに迷惑も掛けてしまう。
それもわかってはいます。
でも。。悲しいものは悲しいんだよ。
私は逆に何で悲しくないの?って思っていた。
人の心に寄り添ってあげるお仕事じゃないの?って。
いや、きっとみんな悲しいんだよ。
でもプロとしてやるべき事やらなくてはいけない。
きっと我慢してるナースもいると思う。
ただそれを表に出していないだけかもしれない。
でも私は毎回ではないけど泣いてしまう。
プロ失格なのかなってずっと考えていた。

それぞれ看護師によって考え方は違うと思います。
何が正しいかはわからないけど、一緒に泣いて悲しみを共有する事も、冷静に対応してしっかりと家族を支える事もどちらも間違ってはいないと私は思っています。

私はその時泣きながらもそっとご夫婦の背中に触れました。
今はすごく悲しいし辛いですよね。私も悲しいです。でもここまで凄く頑張ってきていたし、最期を息子さんご夫婦と一緒に過ごせて●●さんはすごく幸せだったと思います。
お二人の愛情を私も日々感じていましたから。
こちらこそありがとうございます。って
そんな感じのお話を最後にしました。


何度も死に立ち会うその度に自分の中でたくさん考えるし、その度に自分の看護師としての在り方、立ち位置はこれで良かったのか?もっと何かしてあげられる事はあったのではないか?と振り返りをします。


私は数々の立ち会いをしてきて思った事。大切にしたい事。
それは看護師として身体的な変化に気付き見逃さない事はもちろんですが、私は患者さんやご家族の心に寄り添いその中での小さな心の変化にも気付ける様にしたいなって考えています。
その為には日頃からたくさん関わってその人の事をたくさん見て知る事が大事だなって思っています。


最近特にそう思うようになりました。
何故なら私も最近大切な人を亡くしたから。
そんな時に私の悲しい気持ちに寄り添ってくれた人がいたことが何より心の支えになったから。

大切な人を失くした時に複雑に絡み合う感情や深刻な心の状態を理解してその人に寄り添いサポートしていくグリーフケアを学びたいって考えるようになりました。

今年はコロナでそれも受ける事が出来なくなってしまったけれどきちんと学んで遺された人の心に寄り添える人になりたい。
それはもちろん遺族だけでなく全ての病気と戦っている患者さんやご家族の心にも寄り添える思いやりのある看護師になりたいそう決意を新たにしました★