暑い夏が終わり、秋がやってきました。
母は、良くも悪くもなく変わらずの日々。

抗がん剤治療がワンクール終わると検査。結果は、母と一緒に先生から説明を聞きます。
診察室を出る時、サッと母に気づかれないように看護師さんが私にメモを握らせます。
母のいない所でメモを開くと、先生からお話があります。何時に診察室へお越し下さい。と。
きっと母には話せなかった話を私に説明するのでしょう。
母は、別室にて抗がん剤治療中。

ドキドキしながら、指定の時間に診察室へ。
予想通りの悪い話。
厳しい状況だとのお話。
私は、泣かないと決めていたはずが自然に涙が出て止まりませんでした。
目が真っ赤になり、母の治療が終わるまでには、とてもじゃ無いけど目の赤さがひきません。洗っても無駄で、仕方なく待合室で寝ていたふりをして、突然起きたように。
母が、目が真っ赤よ!と。
えっ?本当?寝ていたからかな。
いかにもウソっぽいですが、その時はそれが精一杯の返答でした。

段々と状態が厳しくなるみたいで、もしかしたら自宅で凄い出血をし、死に至こともあるとのお話。
えっ?と先生に聞き返しました。
先生は、冷静に、最悪の事態もお話しておかないと、何かあった時に今は訴えられてしまうんです。
聞いていなかったという理由でね!と。
必ずしもそうなる訳ではないので。
少し安心しました。
自宅で出血して亡くなるなんて、考えたくもない事です。
そんな事が起きたら、多分私はパニックになるのではないかと思いました。

抗がん剤も、受けられ無い日もあり、仕方なく帰宅する事もありました。
今日は、ゆっくりしなさい!って事じゃないの?こんな日もあるよ、来週に期待だね!と励まして。
ドラマのワンシーンのように、看護師さんがメモを私に渡す事が今後も増えるでしょう。その度に私は目を赤く腫らし、どう母を誤魔化すか、今後の私の課題。

横になっている時間も増え、床擦れになり、塗り薬と貼り薬を使用するようになりました。抗がん剤で悲鳴を上げている身体に、今度は床擦れなんて可哀想すぎます。
このままどうなっていくのかしら?
不安ばかりが募ります。

明日、明後日、明明後日、何か膵臓癌に良いお薬が認可されたりしないかしら?と願いながら。

秋が終わり冬がやって来ます。
12月、ガンと診断されて1年。

余命は、とっくに過ぎました。



続く(4/16へ)