185-1 「繋がれた明日」真保裕一/著 読了。
図書館の同僚に勧められて読んだ一冊。この男は人殺しです―。仮釈放となった中道隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ。いったい誰が何の目的で?孤独な犯人探しを始めた隆太の前に立ちはだかる“障壁”とは?“罪と罰”を問うサスペンス巨編。

 私は無知と想像力の欠如が、若年加害者に共通するのではないか?と日ごろから思っている。いくら、殺すつもりはなかったのだとしても、ナイフを携帯していれば殺意があると思われてもしかたないし、嘘の証言をした被害者の友人をうらみ、いつまでたっても自分の罪と向き合えないこともない。

 加害者の周りにいる大人。全てがひどい人たちではなく、むしろいい人たちに描かれており、実際に前科者に対する世間の風当たりはもっとひどいものなのじゃないか、と思ったり、いや実際はもっと甘いのか?と思ったり。

 奈良の小学生殺害事件で、再犯についての可能性と危険性が問われているが、再犯する率がいくらかしれないけれど、まじめに刑期をつとめ、社会復帰している人が多いと信じたい。

 それと同時に加害者がこれだけ手厚く保護されて社会復帰できるシステムができているのに、被害者家族は社会から何も保護されない現実をみると、社会の矛盾を感じた。筆者もそこも訴えたかったのではないかな?

 自分の家族が殺されて、犯人を赦す気持ちになれないのは当たり前だと思うし、犯人だけでなく、被害者の人権も守れる世の中になってほしいと思う。