「とにかく一歩、
踏み出してみよう」
よく聞く言葉だが、ちょっと想像してみてほしい。
いま自分がどこに居るのか、全くわからない。
目印になる物は見当たらない。
最初の一歩を踏み出すには、何の指標もない。
私は自分の人生に、
そういうイメージを持っていた時期があった。
「何でもいいから、歩き出せ」
自分で言ってみても、
見えないのだから怖くて踏み出せない。
これはなんと、大学時代のことだ。
不安に陥りやすい臆病者だ。今でも。
だけど、こっそり解決したいと思っていた。
心理学やセラピーを学べば、
その手法で自分を誘導できるんじゃないか?
そんな期待もあって、学んだ時期があった。
転職で悩んでいたある時、
セラピーを学ぶ仲間に誘導を受けた。
セラピストを目指す人は、
実力をつけるために、ひたすら実践する。
自分が何をやりたいかわからないの
でも、今のままはもう嫌
潜在意識にアプローチして答えを引き出すため、
そこまではできなくとも、何かしらヒントを得るために、
森の中 → 道 → その先にあるものは?
などと誘導していくのがパターンだ。
自分でやってみつけられなかったけれど、
ひとから誘導してもらったら,
みつかるだろうか?
誘導者は森の道でイメージを誘ってきた。
だが、どうしても道がイメージできない。
ごめんなさい、イメージできない
手を変えて誘導するが、ダメだった。
ごめんなさい、道が見えないの
これ以上先には進めない・・・
恥ずかしながら涙がこぼれてきた。
何も・・・
あ、壁
頑丈で、高くて・・・
無理です
壊せません!
もう、ぼろぼろ泣いていた。 ![]()
誘導者も困っている。
私も、進めなくて
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。 ![]()
その思いが、さらに涙を流させた。
ところが、ふと思いついて、
視点を上げていった。
壁に沿って上昇していく風船から見る感じだ。 ![]()
そして、遂に壁の上まで来た。
そこで見えたものは ―――
なんと、壁はトタンのように薄っぺらだった!
え? ![]()
あはははっ
急に笑い出した私に、誘導者は驚いていた。
どうしようもないから、
壁の向こうを見ようと上がってみたの
そしたら、壁はペラペラだった
うふふ
今度は笑いが止まらなくなった。 ![]()
その薄っぺらな壁の向こう側には、
とても美しい景色が広がっていた。
明るく、緑あふれた街並みだった。 ![]()
このイメージが、具体的な解決策を見つける
ヒントになったわけではない。
けれど、どうにもならない頑丈な壁で、
それ以上は進めないと思っていたものが、
視点を変えたら大したことなかった
ということ。
あなたも、イメージしてみてほしい。
横から見たら、
穴を掘ってみたら、
トントンと叩いてみたら、
グーーンと上昇してみたら、
壁の正体がわかるかもしれない
そして
美しい光景が見えるかもしれない

