私事ですが、2年前から大学病院の膠原病科に通っています。このブログを書き始めたころはまだ確定診断されていなくて、酷い痛みに悩まされ一カ月で10キロも体重が減るような状態でしたが適切な治療が受けられていませんでした。悩んではいたものの膠原病であってほしくはないという気持ちは強く、医者を避けていたような気持ちもありました。

だから、マイケルが亡くなった時は本当に複雑でした。エリテマトーデスだったという話がありましたが本人は公言はしておらず、見た感じで白斑であることは誰の目にも(知識のある人なら)明らかでしたが、激しい痛みに苦しんだことになんとも言えない共感と苦しさを覚えたものです。

今やアトピーでもリウマチでもまずはステロイドを選択する時代ですが、副作用が懸念材料のステロイドでさえ、マイケルが10代の頃はあまり一般的では無く
膠原病の、例えばクローン氏病に子供の頃から罹る人は成長が阻害され学校に通うこともできないような困難な病気でした。

マイケルが亡くなって7年。
その間にも治療法が激変しています。
私の病気でも適応されるのですが、生物学的製剤という薬が広まり強すぎる免疫を抑制して症状を抑えることが一般化しました。

マイケルが悩まされた白斑にはリュウマチで使うメトトレキサートという薬が効果を上げたという報告があります。
(昨年)

アイスバケツチャレンジで注目を集めたALSは発生の原因となる遺伝子がつい先日明らかになりました。

バイオ、遺伝子治療、などなどの進化で膠原病が克服される可能性も出てきたのでしょう。でも万々歳ではありません。
新薬は注射1本数百万円の薬価で、それを年10本数十年うち続けなければならないとか、複数の病気を併発するケースが多いとか現実はまだまだ厳しいです。

難病とひとくくりにされても、皮膚症状だけで寛解して「難病克服」と持て囃される芸能人がいるかと思えば、膠原病の中の皮膚疾患である白斑とその他の合併症で苦しんでいるのに偏見と差別で叩かれ続けたマイケルのような人もいます。

一般の人だと高額な治療費のために無理をして働き症状が悪化して失業するケースも。

病気の数も膠原病の中だけで数百もあり、国から治療費の援助を受けられるものには限りがあります。私の病気もまだ新しいもので援助の枠には入る見込みなしです。
ステロイドが効かないタイプでリウマチの薬をとりあえず処方されるだけ。

症状は周期的に増悪と減少を繰り返します。無理をして仕事をしてできないことは無いけど、その後必ず寝込む。寝込んだところを見せなければちょっと身体の弱い人ぐらいで病気には見えないでしょうね。

マイケルが亡くなった時、重病人だったという人や、元気そうに見えたという人がそれぞれいたのも頷けます。
解剖しても病気の痕跡が無かった。
膠原病ではよくあることです。
炎症が慢性化しても硬変までいかないと
解剖では見つけられないでしょうから。

痛み止めも2009年当時よりは新薬が増え
ました。痛み止めを飲み続けると依存と書かれてましたね。糖尿病の人がインシュリンを注射し続けたらインシュリン中毒ですか?違いますよね。マイケルも鎮痛剤中毒ではありませんでした。

ちなみに
私は痛みがひどい時にボルタレンという抜歯の後の痛みを抑えるぐらい強い痛み止めを飲みましたが、痛みはびくともせず。

抜歯より、陣痛より骨折より痛いのです。
最新のバイオ製剤を点滴しているリウマチの患者でも、効いているかどうかわからないが、切れると痛いと思うので効いてるらしいと思うそう。

膠原病の痛みはそんなものです。痛み止めを飲んで快楽を求めたなんて何にも知らないおバカジャーナリストのでっち上げと断言します。

発病から約30年、どんどん変化する医療事情に希望を見出すこともあれば、絶望の底に落とされたこともあったと思います。
特に治療法が確立されていなかった10代のマイケルが感じた苦しみは想像を絶します。ニキビがひどくてカウンセリングを受けたと言われていますが、これは膠原病の発疹でしょう。誰でも心折れますよ。

ファミリーバンドのジャクソンズを離れ成功を追い求めた20代は賞賛と戸惑い、時に非難を集めました。

当時の医療事情から考えると、マイケルは長く生きられないか、または生きても仕事をできる期間は限られているだろうと思っていたでしょう。身体が動くうちに燃焼し尽くしたいという心情、誰が責められるでしょう。

明日どうなるかわからない。今日1日最高の自分でいたい、最高の力を出しきりたい。それだけだったのかなと。

不安は限りなかったでしょうね。恋愛、結婚、子供に遺伝しないかとか。
遺伝子が絡むのは、今解明されつつありますが、賢明なマイケルは気づいていたでしょう。公表できなかったのは数多くの兄弟とその子供たちのためかな。

私も20代ぐらいから変調は自覚があったのでその気持ちはわかります。今の50代の私で80代の老親より弱っている時ありますから。

癌よりおそらく難しい立ち位置のこの病気とどのように付き合うか、日々苦悩があります。マイケルだけではなくステロイドもない時代に果敢に病気と闘った人たちの思いを忘れぬよう、自分にまだできることを見つけ、1日1日を過ごしたいです。

本当に医学の進歩は日進月歩。マイケルがその果実を受け取れなかったたのは残念で仕方ない。でもマイケルは最後まで現役シンガーとしてステージに上がりました。

癌なら手術して舞台復帰なら神のように崇められたのでしょうが。
最後まで舞台人。そして愛を無くさずに。
あっぱれです。

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日焼けが嫌なんだとか、ファッションとかいろいろ蔭口や過剰な同情を寄せられたマイケルの日傘ですが、ほとんどの膠原病の患者にとって日光に当たることは禁忌です。

皮膚に発疹が出たり、発熱したり症状が重くなるのです。

関節痛は多くの疾患に認められます。
名称からして皮膚の病気にしか見えないものにも関節痛は起こります。

痛みは腹膜炎心膜炎などの場合もあります。

白斑は皮膚だけの問題では無かったでしょう。胃腸障害もあったかも。

でも気がつかなかったわ!という方多いでしょうね。仕方ないです。本当に認知度が低いのです。大学病院の他科の看護師さんに、膠原病科に行ってるというと、「高原の病気ですか。」と真顔で言われました。
笑えないー。