Shout - Michael Jackson

マイケル「叫び」三部作
 
「Cry」を訳したときに「Shout」が互いに補完しあうような曲じゃないかなと思ったのでこちらも訳してみました。
曲のタイプは真反対。
激しいリズムに叩きつけるようなノリノリのラップ。
社会のあらゆる矛盾にイラつき「shout」したくなるのは、まさに衝動のなせる業。
 
でもマイケルはそこから「Cry」に結びつくメッセージを引き出します。
 「皆がつながりこの暗闇に光をもたらそう。愛を輝かせようよ。」
 
そのまま「Cry」つながるメッセージです。
これって双子みたいだよね~~~、と思ったらもう一人いました!
 
「Scream」
 
これが一番、原初的な叫びでしょう。苦しみや悲しみのあまり絞り出される悲鳴のような叫び。
「泣き叫ぶ」が一番近いかも。
 
ち密に設計図を引きながら創作するような一面もあるけど、
マイケルが一番大事にしているのは、嘘偽りのない「本当の感情」.
スーパースターマイケルが飾ることなく、自分の苦しみを「Scream」するのは本当に衝撃的でした。
今マイケルの評価うなぎ上りだからこそ受け入れられるけど、「マイケルの個人的な不満爆発」
にクウェスチョンマークを投げかけた人も多かった曲です。
 
でもマイケルはただ「Scream」しただけでは終わらなかった。
 
「Scream」→「Shout」→「Cry」
 悲鳴      叫び    主張
と創作を重ねるうちに、一個人の苦しみや悲しみを社会と関連付け
断ち切られた他者とのつながりを回復することによって
社会全体を変えていこうという「大きなメッセージ」につなげていったのです。
 
マイケルが繰り返し使った言葉「Change」は社会の変革でもあり
人間一人一人の変革(成長)でもあります。
まずマイケル自身が成長することで(そこには大きな痛みがありましたが)聴く人の何かを変えていく。
マイケルの曲を聴く一つの醍醐味だと思います。
 
Ignorance of people purchasing diamonds and necklaces,
And barely able to keep the payments up on their lessons,
And enrolled in a class and don't know who the professor is,
How low people go for the dough and make a mess of things,
Kids are murdering other kids for the fun of it,
Instead of using their mind or their fist, they put a gun in it
Wanna be a part of a clique, don't know who's running it,
見せかけの豊かさをむさぼる無知な人間は
本当に大事なことを学ぶお金を失ってしまう
誰から学ぶべきかもわかっていないだろうけど
心が貧しい人たちはただお金を追い求め、堕落するだけさ
 
面白半分に子供がほかの子供を殺すんだ
自分の手や心を働かせる代わりに、銃でなんでも片づける
誰が裏を仕切っているかも知らないで
悪の世界に足を突っ込んでく
Tragedy on top of tragedy you know it's killing me.
So many people in agony, this shouldn't have to be,
Too busy focusing on ourselves and not His Majesty,
There has to be some type of change for this day and age,
We gotta rearrange and flip the page,
Living encaged like animals and cannibals,
Eating each other alive just to survive the nine to five,
Every single day is trouble while we struggle and strive
Peace of mind's so hard to find.
悲劇の上に更なる悲劇を積み重ねるなんて、もう僕は耐えられない
こんなにたくさんの人たちが苦悩するこの世界、こんなのあり得ない
自分のことばかりに目を向けて、神(真理)からは目をそらす
こんな世の中は変えていかなきゃならないよ
すっきり片づけて新しい一ページを開こうよ
 
檻に入れられ共食いする獣のように
ただ生き延びるためにあくせく働き誰かと競争するんだ
もがき続けてしのぐだけの日々はただ苦痛
心の平安はどこにも見つからない


Chorus
I wanna shout, throw my hands up and shout
What's this madness all about
All this makes me wanna shout
You know it makes me wanna shout,
Throw my hands up and shout
What's this madness all about
All this makes me wanna shout, c'mon now
叫びたい、もうお手上げして叫びたくなる
この狂気はいったい何?
僕は叫びたくなるよ

Verse 2
Problems, complications and accusations
Dividing the nations and races of empty faces
A war is taking place.
No substitution for restitution, the only solution for peace
Is increasing the height of your spirituality.
Masses of minds are shrouded, clouded visions
Deceptions and indecision, no faith or religion, how we're living.
問題が混乱を引き起こし、互いを糾弾し
国々は分断され民族としての誇りも失い
今まさに戦争が始まろうとしている
他に手立てはないんだよ、平和を実現するたった一つの方法は
魂を高めることだけさ
民衆の心は包み隠され、未来は見通せず
欺瞞と優柔不断に満ち、信念も信仰もなくて
どうやって生きていくというんだ 
The clock is ticking, the end is coming, there'll be no warning,
But we live to see the dawn.
時間は限られ終末が近づく、警告もなしに
でも僕たちは生きて夜明けを見なきゃ
Bridge
How can we preach, when all we make this world to be
Is a living hell torturing our minds.
We all must unite, to turn darkness to light,
And the love in our hearts will shine.
どうやって伝えたらいいだろう、自分たちでこの世界を生き地獄のようにして
心を痛めつけている時に
みんなが繋がらなければならないよ、闇に光をもたらすために
そして心にある愛が輝くために
Verse 3
We're disconnected from love, we're disrespecting each other
Whatever happened to protecting each other
Poisoned your body and your soul for a minute of pleasure,
But the damage that you've done is gonna last forever.
Babies being born in the world already drug addicted and afflicted,
Family values are contradicted.
Ashes to ashes and dust to dust, the pressure is building and I've had enough.
僕らは愛から切り離されそうになって、お互いを尊重しなくなっても
何が起こっても互いを守りあおう
つかのまの喜びのために体も魂も汚されても
起こしてしまった過ちが永遠に続こうとも
生まれてくる赤ん坊たちが薬物漬けになっていたとしても
家族の絆がばらばらにされても
どんなばかばかしい問題が積みあがってもうどうしようもなくなっても
Chorus...
 
「Cry」と同じ「絆の回復と愛」というメッセージを伝え、「A war is taking place」
という危機感も共有しています。
 
でも全体を通して感じられる危機感や焦燥感は解決されることなく、「もうお手上げだ
、叫びだくなる」という言葉と苦しげなギターソロで締めくくられるこの曲は
「Cry」へ希望をつなげると同時に、もう一つの「負の結末」を予感させるものでもあります。
あんなに素敵な「You are my life」よりもこの「Shout」をアルバムに入れたかったというマイケル。
 
「叫び三部作」(勝手に命名)の中でも、この二曲が背負わされたものがどんなに大きかったか。
じっくり考えてみたいです。
 
それにしてもマイケルの楽曲たち。ひとつひとつが生命をもった生き物であると同時に
またそれぞれが繋がりをっ持って一つの大きな生命体を創り上げているんじゃないか
みたいな気がしてきました。
 
マンミラーKPTFーオンザラインーCry(オンザラインの冒頭のメロディーがCryと同じなんですよね)
とつながり
CryはShout,Screamにつながる。Screamは一連のメディア批判ソング(LMAなど)とも世界を共有しているし
ほとんど曼荼羅や宇宙樹のようです。
 
イメージ 1
マイケルは創作を通じて内面世界を掘り下げることで、宇宙の真理、生命の神秘への探求をしていた。。。
なんて空想が広がってしまいます☆
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追記
翻訳のためにほぼ初聴きだった「Shout」。
音楽的にも相当優れたものだということに気が付きました。
 
マイケルが一番大切にしているもの、
「体から湧き上がるようなリズム」と「言葉の響き」だけを前面に押し出したシンプルさ。
中間にほんの少し現れるメロディーもこれがミニマムに美しい、
最後のしびれるようなギターの響き。
パワフルなメッセージ。
あまり話題にならない曲なので、ぜひ聞いてください!
 
これをアウトテイクにしたらそりゃ、「Sony kills music」とも言いたくなるよね。
芸術的にもメッセージ的にも音楽の力を一番必要としていたあの頃の世界に
なんてことをしてくれたんでしょ~~~。
企業としてはそれがPolitically correctだったんだろうか。
私がインヴィを聞いていつも感じる「欠落感」みたいなものの理由がわかった今日でした。