今日は、朝から片道2時間掛けて、実家まで。

老いた母が認知症になり、物で荒れ果て、その整理処分を、妹と定期的に行っているのである。


出てくる出てくる…包装紙、ハギレ。

パンパンに食品が詰められ、何年も年を越して、異臭を放つ冷蔵庫。

布団収納ケースに、衣類と一緒に仕舞われてしまった食べかけの菓子パンなどが出てきたこともあった。


私の母の世代というのは、物の無い時代に育ったせいか、なんでもかんでも、捨てない。物を溜め込み、家の空間の許容範囲をはるかに超える量だった。

妹と黙々と、ゴミ袋の山を作る作業に没頭していると、あるトートバッグの中に、1冊の本を見つけた。

手に取ると、藤城清治さんの挿し絵が使われた絵本ではないか!



しかも、表紙をめくると、見開きいっぱいに藤城清治さん直筆のサインがあった。

日付を見ると、12年前、母が藤城清治さんの展覧会で購入したもののようだ。


藤城清治さんといえば、誰しもその作品を一度は目にしたことがあるであろう世界的に有名な影絵作家さんである。


子供の頃、音楽だったかな、教科書の表紙に使われていたのが印象に残っている。

昨年末、NHK紅白歌合戦で、MISIAさんの歌とのコラボレーションでは、今年の干支、辰年にちなんで、力強く舞う龍の作品が話題にもなった。

その表現力の緻密さや、夢のある独自の世界観は、大変に素晴らしく、観る者を魅了する。

なんと、御歳99歳となられるそうで、そのパワフルな創作エネルギーに、頭が下がる。


私も、将来のシニアモデル、こんな風に見習いたいものです。


こうして、整理処分で疲れた心を潤してくれるお宝として、大事に持ち帰って来たのでした。

嬉しい見つけ物でした。