第345回定例会 一般質問(10月2日)質問事項

質問者:村岡まゆこ(自由民主党) [発言方式:一括]

1 避難所のWi-Fi環境の整備について
2 国民健康保険の激変緩和措置について
3 県営水道の次期料金改定と今後の方向性について
4 兵庫県におけるインバウンドの取組について
(1)クールジャパンの取組について
(2)北播磨地域におけるインバウンドの取組について
5 県立学校の通学区域について

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2 国民健康保険の激変緩和措置について
 

【質問者 : 村岡まゆこ】

 

 質問の第2は、国民健康保険の激変緩和措置についてであります。

 

 厚生労働省の発表によれば、この10年で、70歳以上の高齢者数と国民医療費は1.3倍になりました。団塊世代が全員75歳以上になる2025年には、国民医療費の総額は61.8兆円にもなる見込みです。そうした中、日本の国民皆保険を将来にわたって守り続けるため、その基盤となる国民健康保険制度について、平成30年4月から、国は約3,400憶円の追加的な財政支援(公費拡充)を行うとともに、これまでの市町村に加え、都道府県も保険者となり、制度を担うことになりました。


 従来、「年齢構成が高く医療費水準も高い」、「所得水準が低く保険料の負担が重い」といった構造的な課題を抱えていた国民健康保険制度の保険者の中には、財政運営が不安定になるリスクが高い小規模の市町村が多く財政赤字の市町村も多数存在するため、該当する市町の苦境を救うためにも、新制度及びその担い手となった県の取組には大いに期待致しております。
 

 県が共同保険者となることで、国民健康保険制度の財政運営は、従来の各市町から県に移り、県下全体を対象として行うこととなりました。従って、全県で同じ保険料水準に近づいていくことが必要となりました。改革後も、実際の保険料は各市町が決定していますが、市町ごとに県から標準保険料率が示されます。新制度では、一部の市町においては、以前と比べて保険料が上昇している場合があります。この要因としては、冒頭で述べたような社会変化に応じて、保険料を上げておくべきだったところを、長年にわたり低く抑え、引き上げの代わりに法定外繰入で対応してきたケースが多いと思われます。これは、本来、財政的には自己完結すべき保険制度であるにもかかわらず、法定外繰入は被保険者以外に負担を求めるもので、税の不公平を招くものであります。これにより、法定外繰入に充てられた税により行われたであろう社会サービスが、市民に公平に還元されないことになります。
 

 例えば、三木市は過去約10年間にわたり、保険料を低く抑え上げてこなかったことがあります。被保険者には望ましいことではありますが、実態としては、毎年法定外繰入を行っておりました。制度を知らない市民にとっては、こうした税の不公平が行われていることを実感できず、不利であると言えます。
 

 ただ、こうした実態を踏まえた上でも、保険料の急激な上昇は回避すべきであると、制度改正において国も言及しており、県では、新制度の円滑な施行を図るため、適切に激変緩和措置を講じておられます。こうした措置を利用しつつ、また、市民に値上げをお願いするなど努力を重ねて、国民健康保険事業の赤字財政から脱却している市町が増えている一方で、先ほど紹介致しました三木市のように、県の激変緩和措置だけでは依然として赤字から脱却できずに苦しんでいる市町もあると伺っています。さらに、自治体の医療費適正化に向けた取組や保健事業を支援する国の保険者努力支援制度にもすぐに対応できない場合も考えられます。もちろん、法定外繰入の解消のためには、市町自身の努力が必須でありますが、各市町の事情や県民の制度に対する理解不足、また市町職員の経験不足もあり、深刻な苦境に陥っている市町については、急激な保険料増額を回避するためにも、県においては一層の激変緩和措置等の支援が必要であると考えます。
 

 ついては、制度改革から1年の経過を経て、激変緩和措置等の現状と今後の見通しについて、当局のご所見をお伺い致します。

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【答弁者 : 井戸知事】

 県としては、今回の制度改革による保険料変動の影響を最小限に抑えることを目的として、国補助金や県調整交付金を活用して、保険料について激変緩和措置を行っております。その結果、平成30年度の県平均一人当たり保険料額は、対前年度比で2.5%減少、92,802円が90,453円になりました。概ね新制度の円滑施行が図られたといえます。保険料が減少したのが22市町で、増加したのが19市町という結果です。


 激変緩和措置は、当面3年間の経過措置であります。本来、保険料を抑制し、制度の安定運営を図るためには、被保険者の健康づくりを推進し、医療費の過度な増大を抑えるとともに、被保険者の理解を得ながら保険料の適正な賦課や収納率向上を図ることが必要です。
 

 県としましては、まず、国の保険者努力支援制度を活用した糖尿病重症化予防プログラムの策定による市町の保健事業への支援を行っております。続いて、県交付金を活用して、口座振替制度の推進等による収納率向上への財政支援も行っています。3つに、改革の趣旨や仕組み、激変緩和措置について、県民の理解を得るための広報を強化するほか、4つに、国保事業の経験の浅い市町職員を対象とした研修会等を実施して、理解を深めております。
 

 一方で、保険料水準の統一を進めていくことになりますが、これにあたりましては、健康づくり施策を推進した結果、医療費が低く保険料水準が低い市町からは、県平均との格差を解消することに強い抵抗感があります。したがって、このような健康対策や生活習慣病対策により医療費の低減をもたらしていることを評価するような交付金の支給について、検討していく必要があると考えています。
 

 県としては、こうした取組を進めるとともに、激変緩和措置については取組の成果を踏まえ、3か年を計画期間としている兵庫県国民健康保険運営方針の改定時に見直しを行うことにより、国民健康保険制度の持続的で安定した運営に努めてまいります。

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●再質問
【質問者 : 村岡まゆこ】


 まず、国民健康保険の問題について再質問させていただきます。


 ご答弁にもありましたけれども、制度の改正によって保険料が下がった地域もあれば上がった地域もあり、また、普段から健康づくりに取り組んで医療費を低く抑えて保険料もあわせて低く抑えているという努力をしている市町もあれば、いろんな状況でなかなか赤字から脱却できない市町もあるという状況の中で、この3年間、激変緩和措置の経過を見ていくということでありました。また、3年経過ののちに改定するということでありましたが、実際そうした各地域の状況がある中で、ひとつを特別視していくというのは難しいと思います。


 そうした中で、知事のご答弁にもありました、やはり市民の方の理解を得てしっかりと健康づくりをしていくということが非常に大事だと思います。その中には、市町の職員へのいろんな研修もあるというふうに伺いましたが、市民、県民に対する制度への理解を深めていくための広報、もちろん県の方にも行っていただかなければなりませんけど、まず、第一は市町が行っていくべきだと思います。
 

 研修だけではなかなか難しい、実際、地域の実情に合った説明をしていくうえで、説明資料の作成、あるいはいろいろな数字、統計の把握といったところで、なかなか市町の職員も難しいところがあると思うのですけれども、そうした市町の広報の強化のためにも、ぜひ県のそうしたところにご助言、ご指導があれば少しでも赤字の脱却につながっていくと考えますけれども、その辺について何かご意見があれば、ご答弁をお願いいたします。

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●再質問に対する答弁
【答弁者 : 井戸知事】


 元々、いろんな医療費削減、低減のためのご尽力をされているわけですけれども、健康づくりは住民自らが執り行って初めて効果があるわけでありますので、健康づくりについての理解を深めていくこと、それ自体が保険料低減の基本、基盤になりますから、そのような意味で、理解を深めるための県としての支援、しっかりこれからもやらせていただきたいと考えております。
 

 具体の事業につきましても、特別交付金を活用して、そのような努力をしている市町を、応援をしていく、ということもそうでありますし、さらに低減努力をされている市町については、それを評価して何らかの対応を検討していきたい、このように考えて、来年度からでも対応できるような方式も考えていきたい、検討しているという状況でございます。


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●再質問への答弁に対するコメント
【質問者 : 村岡まゆこ】


 ご答弁いただきました。ぜひこの本来の制度改革の趣旨である各市町が赤字を脱却して、この国民皆保険がしっかりと末永く守られ社会保障が安定していくということが社会の安定にもつながっていくと思いますので、今後とも取り組みをよろしくお願いいたします。

 

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●〇● 解説 ●〇●

 平成30年4月から、国民健康保険の財政運営の主体は、市町から県に移行しました。
いままでは、実態は赤字で法定外繰入をしながらも、三木市のお財布の中だけでやりくり出来ていたことも、県下全体の大きなお財布の中でやりくりしていくことになります。そうなると、三木市も、県下の他の市町とのバランスが問われてきます。

 今回の制度改革で、三木市も、国民健康保険事業の赤字体質脱却という大きな課題に、ついに向き合わざるを得なくなりました。しかし、これが、他の市町と比べて、三木市のこれまでの経緯もあり、予想以上にハードルが高いのです。

 このままでは、三木市だけが赤字を脱却できないまま取り残される可能性もあり、今回、質問で取り上げました。
 質問は、文字数や時間の制約で、かなり端折った内容になっていますので、わかりにくい部分もあるとおもいます。

改めて、この問題は、取り上げて解説する予定でおります。