空き家問題については、実にいろんな視点から考察することができます。その中でも、最も多い指摘の一つが、「空き家問題の解決には、中古住宅の市場を広げなければならないのではないか」というものです。

 

 確かに、日本では、「家を建てるなら、あるいは購入するなら新築が良い」という風潮がとても強いように感じます。中古住宅といえば、最近では古民家再生が脚光を浴び始めましたが、一般住宅の分野にまではまだまだ及んでいません。

 

2018年5月13日付の神戸新聞に、興味深い記事がありました。

 

【神戸新聞:実家の牛小屋を改装、美容院オープン 三木】

 

 実家の牛小屋を改装して美容院をオープンした若者の起業についての記事です。牛小屋、というと、むしろ古民家再生の応用と捉えられるべきかもしれませんが、とても興味深い記事です。

 

 思えば、中古住宅の再生・活用には、リフォームが必ず伴います。いわゆる、増改築工事になるわけです。大工職人を利用するのが一般的ですが、最近はDIYとして、所有者もしくは賃借人が自ら改装工事を行うスタイルに注目が集まっています。いずれにせよ、のこぎり、ノミ、カンナ、金づち、コテなどの「三木金物」が、大いに役立つ場面です。近年、住宅が和風建築から洋風建築に変わり、そうした工法の変化が職人や大工道具の減少を引き起こしています。その傾向を踏まえると、中古住宅の市場を拡大し、改装工事の場面を増やせば、三木金物の需要を生み出せる可能性を感じます。実際、そうした取り組みに着手されている地元企業もあるようです。

 

 新しいトレンドと伝統ある産業のコラボによるまちの活性化は、三木市に限らず、全国的な課題です。私もしっかりと研究し、そうした取り組みをバックアップできる方法を考えたいと思います。