「ご近所のため池、大丈夫ですか?」

 平成30年5月12日付の神戸新聞NEXT(Web版)にて、兵庫県による県下のため池の一斉調査についての記事が掲載されていました。記事の詳細は、下記のリンクよりご覧下さい。

 

【神戸新聞】3万カ所のため池、初の一斉調査:全国最多の兵庫県

 

 農業に従事しない方々から見ると、「ため池は農業関係のことだから、自分には関係ないや」と思われがちですが、決してそうではありません。むしろ、是非関心を持っていただくべき話題です。神戸新聞の記事を要約すると、以下の通りです。

●兵庫県のため池数は全国1位(全国の約2割)
●小規模のため池は膨大にあり、県や市町も現状を未把握
●農家の減少により、管理不備のため池が増加
●ため池の決壊による浸水被害が発生
●県が県下のため池の個別管理状況等を一斉調査することに

 次に、三木市のため池の数の詳細についてですが、兵庫県が公表しているデータによれば、以下の通りです。

※「特定ため池」:用水によるかんがい面積が0.5ha以上で、管理者の届出義務あり。
※「特定外ため池」:用水によるかんがい面積が0.5ha未満で、管理者の届出義務なし。

①三木市の農業用特定ため池の数:883
 ・県下第2位(1位は淡路市931)
 ・北播磨第1位(県民局合計2,552、管内の約35%を占める)

②三木市の農業用特定外ため池の数:3,183
 ・県下第3位(1位は淡路市12,386、2位は洲本市6,382)
 ・北播磨第1位(県民局合計4,240、管内の約75%を占める)

③三木市の農業用ため池の数の合計(①+②):4,066
 ・県下第3位(1位は淡路市13,299、2位は洲本市7,005)
 ・北播磨第1位(県民局合計6,792、管内の約60%を占める)

【参照】平成29年4月1日現在兵庫県内のため池数(市町別)PDF(農政環境部農林水産局農地整備課)

 ため池の規模を問わず、県下でもトップクラスの驚異的な数を抱えていることが分かります。ため池は、農業には欠かせないものです。ため池の数の多さは、この地域がいかに水不足に悩み、それを克服するために、いかに先人が苦労したのか…。「日本一の山田錦の産地」という称号とブランドは、想像を絶する努力の上に輝くものなのですね。

 今回、県が一斉調査するのは「特定外ため池」です。数が膨大で、兵庫県や市町が状態を把握しきれていないようです。農家の高齢化や減少傾向、ため池の放置や老朽化が進み、管理されていなかったり、人々の記憶から忘れ去られているため池もあるようです。更に近年、イノシシが増加し農作物に被害が出ていますが、イノシシは圃場整備された田んぼの畔やため池の堤を牙で掘り起こすなどの被害も引き起こしています。こうした要因があり、中にはため池が決壊し、下流の民家や農地に浸水被害を及ぼしている事例があります。これは、人命や財産に関わる重大な事案です。

 皆さんも是非、自宅や職場の周辺にため池は無いか、ハザードマップの確認と合せて、事前に調べておいて下さい。そして、併せて、ため池への関心や理解を深めて頂き、地域に不可欠なため池の保全にご理解・ご協力頂ければ幸いです。

**********

※この記事へのご感想・ご意見については