ある土曜日のお昼、私は初めて剛くんに会った。
今なら写メ交換をしてから会うことが多いかもしれないけど、ドストレートに写メ送ってとは言えなかった。
会って嫌な顔ならご飯だけ一緒にして帰ろう。
くらいの気持ちだった。
もちろん、嫌だった時を考えて現地集合。
顔が嫌な人の助手席になんて乗りたくないよね?
そうして私たちは初めて会った。
2012年11月。
ここは北海道だから、もう冬の始まりみたいな気候。
いつ雪が降ってもおかしくない気温だった。
剛くんは時間より早く来てくれていたようで、mixi経由で着いたことを教えてくれた。
第一印象、でかい。
身長がやけに高い、北海道にこんな黒い人いるんだ。
顔?中の下。
意外と冷静に分析している自分が面白かった。
顔ね、嫌いじゃないけどイケメンとは程遠い。
消防士ってやっぱり制服で3割増なのね。
あの時の心配や、あの時好きな人がいたことを知った時の悲しさはどこへ?
と思うくらい、私の心は冷静だった。
お互いに好きなものを注文して、初めて会話をした。
けれども文章でのやり取りはしていたから、初めて話したような感覚はなかった。
むしろずっと知っている友達のような感覚。
少し違和感を感じつつも、無難な話をした。
剛くんは
「この後、どうする?」と聞いてくれた。
顔は中の下だけど、会話はとても楽しかった。
居心地の悪い時間ではなかったので、
「空いてるよ」
と私は答えた。
「うちにくる?」
........?何する気?と一瞬構えてしまったけど、
行ってみても良いかな?
私、公務員の社宅って分からないから覗いてみたい。
という好奇心から、剛くんの家に行くことにした。