みなさん、こんにちは!

本日の「きっかわみきの物語」部分公開は、

「青い眼をもった木」からです。

 第7章の「玉をかかえた龍の巻」の中の、

「不思議な力との関わり方」の

一節からお届けしますね。

 さてはて、今日はおっちょこちょいの龍が出てきますよ。

それでは早速・・・・・


 さて、白銀の象の宣言を聞いて、真っ先に木のところに駆けつけてきたのは、若者の龍でした。

龍は何せ宇宙中の生き物の中でも、その足の速さと言えば、一、二を競うほどでしたし、何よりこの龍には息せき切ってでも駆けつけるだけの理由があったのでした。

 

 この龍、大層いたずら好きでおっちょこちょい。その上、ひょうきんな面があるかと思えば、将来は自慢の玉の色を自在に変えてみせる力をもって、龍の中の王様になりたいと願っている大変な野心家でもあったのです。

 

 それは、ちょうど白銀の象が宙に宣言をして、喜びの波動で一面に金の粉が降りしきった時のことでした。

 龍はいつも抱えている自慢の玉を持って、あちこちを飛び回っていたのです。

 ところが、何としたことでしょう。

まさに金の粉が舞ったその時、ずっと遠くに離れていたはずの龍の抱える玉も、その内側からきらきらと金色に光ったのです。

そう、何度かきらきら、きらきらと金色になったのでした。

 

 自分の胸元で起こったその変化を目の当たりにした龍は、玉を落としそうになるくらい驚きます。

 なぜって、いまだかつてそんなふうに玉が金色に光ったことなどありませんでしたから。

「落ち着け、落ち着け」

 龍は自分にそう言い聞かせて、いましがた起こったことについてしばらくの間、飛び回りながら考えをめぐらしておりましたけれど、そのうち何やら嬉しくてたまらなくなってきたのでした。

 と言うのも、あの時同時に聞こえてきた白銀の象の宣言が心によみがえってきたからです。


 龍は有頂天になって確信しました。

「これは何やらすごいことが起こったようだ。

玉が金に輝くとは吉兆中の吉兆。

『待ちに待った御方様が現れた』と声がしたが、きっとその御方様とやらは、玉の色を自在に変えられる方に違いない。

そして、俺様にその特別な力を授けるためにやって来られたのだ。

玉が金に光ったのは、そのしるし……」。


 そう思うと、龍は、もういてもたってもいられなくなってきました。

「一刻も早く、その御方様とやらいう方に会いに行かねば……」


 こうして、龍はあちこちを飛び回って木を探し回り、ようやく木の所にたどり着いたのでした。


 さてみなさん、この後、龍はどうなるのでしょうか。

 龍は青い一つの見たこともない木の姿に出会うと、「これが本当に、その御方様とやらいう方なのだろうか」といぶかしく思いましたが、まずは自慢の玉と自己を披露するために、木の前で玉をくるくる回してみせたのでした。

 そしてひとしきりそうしてみせると龍は木に言いました。

「実は俺の玉に不思議なことが起こりまして……。と言うのは、数度、玉が内側から光ったのです。

それも、それも、……いままでに見たこともないような金色に、なのです。

なので、その、……俺様は、いや俺は自分の命の次に大切なこの玉の色を自由自在に変えられる特別な力をずっとほしいと思ってきたもので……。

で、どこからか風に乗って、『すごい御方様が現れた』と聞こえてきたものだから……、そんなこんなでここに来たってわけです」


 長年の念願が叶うのかと思うと、龍は期待と嬉しさではちきれんばかりになり、もうほとんどしどろもどろでした。


「で、ぼっちゃん、あんたは一体、何のためにその玉の色を変えたいのかね」


 木はここで初めて口を開きました。

この青いをもった木は、他の生き物と自由自在に話すことのできる木だったのです。


 さて、みなさん、どのように読まれたでしょうか。

私は、この物語を出版して読者から頂いた感想の

一番多くが、この玉を抱えた龍のくだりに関するものでした。


「物語に登場する生き物の中で、自分が一番近いのは、

まさに龍だと思います」と。

 でもここに出てくる龍のような願望は、どうでしょう、

誰の心の中にもあるものではないでしょうか?

 筆者である私自身も、反省しきりです(笑)。


 ところでところで・・・・・。

この龍の言葉に対して、青い眼をもった木は

一体どのように答えるのでしょうか?

 これについては、とても大切な部分なので、

書きましょう。


「玉の色を変えてみせたとて、一体それが何だと言うのだね?一体、何の役に立つというのだ。

そのようなつまらぬことに、心を奪われてはいけないのだ。もし仮に近い未来のことを見通したり、嵐を静めたり、猛獣を自由に操ったり、というように不思議な力を発現したとしても、それは他を驚かせるための奇術ではない。

奇術にしてもいけない。

他をおどかしたり、尊敬を集めるためなどに悪用してもいけない。

自らに授かった力は、これ見よがしに誇示したりせず、いつの場合もそっと他を助け、世の中を助けるような、そのような最高の目的のために使われねばならないもの」


 青い眼をもった木は、このように答えたのですよ。

この言葉に含まれる、深い意味、

みなさんも是非、かみしめてみて下さいね。


 そして・・・

実はこの言葉の後にも、青い眼をもった木は

とてもとても大事なことを龍に伝えています。

 摩訶不思議な力がほしいと思っている龍に対して、

「もっとも不思議なこととは・・・・・・・・・なんだよ」

伝えているのですね。

 さてさて、このもっとも不思議なこと「・・・・・・」とは

何なのでしょう?

 みなさんは何だと思われますか?

あなたにとっての、最も摩訶不思議なこととは

何でしょうか?


 それでは今日もお元気で爽やかに一日を

お過ごし下さいね。





書籍「青い眼をもった木」(電子書籍・単行本両方あり)

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