みなさん、こんにちは!

本日の「きっかわみきの物語」部分公開は、

「鹿の祈り」からです。

 この物語、鹿のリンバが10回生まれ変わるお話で、

その度にリンバの環境は変わり、

それにつれてリンバの悩みも変わるので、

祈る内容がどんどん変わっていく、というお話です。

 本日は、リンバが鹿の王国の王子として生まれる

という設定の中でのことです。

 それでは・・・


 リンバが次に生まれ変わると、そこは争いの無いところでした。

しかもリンバはこの度、鹿の王国の王の息子として生まれたのです。

 リンバは、王子という立場上、何でも手に入れることができましたし、どんなことでも好きなようにできました。


 毎日リンバは、大勢の家来と食べきれないご馳走に囲まれ、森の奥深くまで探検に出かけたり、優雅な遊びに興じたりして暮らしていました。

 しかしリンバはそれで満ち足りるということがなかったのです。

リンバは「もっと珍しい物を食べたい」と言ったり、「地の果てへ探検に出かけたい」と無理難題を言ったり、また「もっともっと、自分の言いなりになってくれる家来がほしい」と父王に要求したりするようになっていきました。

 

 このように、リンバはわがままな王子ではありましたが、しかしその一方で大変冷静な一面ももっていました。

 リンバはある時、自分の姿に気付いたのです。


「どうしてだろう。私ほどいろいろな願いが叶(かな)っているものはいないというのに……。

あれがほしい。これがほしい。こうしたい。ああしたい……。

どこまでもあれこれと求めることが尽きない……」


 リンバはそう思うと、空を仰ぎながら思わず何かに向かって、問いかけました。


「こんなに満たされているはずなのに、どういうわけか、心の中がいつも騒がしいのです。

心が静まり落ち着くということがないのです。

一体どこまでいくと、この私の欲望は終わりを告げるのでしょう」


 こうしてリンバは、祈るようになりました。


 さて、みなさん、

みなさんも、この王子のリンバのようなご経験は

無いでしょうか?
 「これさえ、かなえば、あとはどうでもいいのです」



と言っていながら、それが実現すると、なぜか次の欲求が

ムクムクと生まれてくる・・・・。

人間の欲望とは、本当にキリがないものですね。
いかがでしょうか?

 ところで、この後、王子のリンバは、

どのように祈るのでしょうか?

心静かに暮らせるようになるのでしょうか?

そしてその後も生まれ変わりを繰り返しながら、 

さてはてどのように環境は移り変わり、

それにつれてどのように魂も向上していくのでしょうか?

この「鹿の祈り」は、

生き物の魂の遍歴、霊格の向上を描いた物語でもあります。

みなさんは、鹿のリンバは最後、

どのようになると想像されますか。


 それではまた・・・・。

どうぞみなさま、発見に満ちた一日を

お過ごし下さいね☆







書籍 「鹿の祈り」(単行本・電子書籍両方あり)

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