みなさん、こんにちは!

本日の「きっかわみきの物語」部分公開は

「続・金色(きん)の耳

  ~なぜ悲しみや苦しみがあるの?~」の、

「満月」の章からです。

変わった姿をしていることから、いじめられて

悩んでいる<花>。

<花>はそれ以外にも、苦しんでいる生き物を目撃して、

「生き物には、なぜ悲しみや苦しみがあるのだろう?」

と考え始めます。

いろいろな生き物が、<花>のこの問いかけに

答えていきますが、

さて、今日の「満月」は、

一体、どのように答えるのでしょうか?

それでは・・・



「月さん、私はここのところ、ずっと思い煩(わずら)っていることがあるの。

それは、生き物にはどうして悲しいことや苦しいことがあるのだろう、ということなのだけれど・・・。

あなたはその強く鋭い光で地上を照らしてみられて、どうでしょう。

すべてのことが明るみにならないかしら?」


 すると満月はちぎれ雲の向こうから、鋭さを幾分やわらげた清らかな光を投げかけながら答えました。


「それは・・・、やっぱりリズムなのだろうな」


「えっ?リズム・・・?」


 満月は一層光を放ちながら言いました。


「それはね、こういうことさ。

リズムのことを、左右に振り子が振れるようなものだと想像してごらん。

いのちあるものは、左右に振れながら、その振り幅を広くしたり狭くしたりしながら、バランスをとって進んでいくものなのさ。

左に大きく振れた後は、右にも大きく振れる。

つまり、悲しみや苦しみの方に振れた後には、必ず喜びや楽しみの方にも振れる。

悲しみや苦しみの方に大きく振れれば振れるほど、逆に喜びや楽しみの方にも大きく振れ、喜びや楽しみをより大きく味わえるということなのさ。

いのちあるものは皆、そうやってバランスをとりながら進んでいくようになっているのさ」


「バランス・・・、振り子・・・」


<花>は、その耳の形をした珍しい花を左右にゆっくりと振って、振り子のまねをしてみたのでした。


満月は言葉を続けました。


「きっと、苦しみと楽しみ、悲しみと喜びは一枚のコインの表と裏のようなものなのだろうな。

いずれにしても、深い悲しみや苦しみを味わったものには、それを味わったものにしかない大きな喜びがやってくるのさ。

その喜びはたとえて言うなら、光にも似た、君にひらめきを与えてくれるような喜びさ」


満月のこの言葉に、<花>はぱっと顔を輝かせると言いました。


「光にも似た、ひらめきを与えてくれるような喜び・・・。

よく分からないけれど、この世界には、そんな素敵なものがあるんだ!」


 さて、みなさん、この満月の言葉、

いかがだったでしょうか?

 悲しみや苦しみの後というのは、

楽しみや喜びが一段と深く感じられる・・・

そんなご経験は無いでしょうか?

 そして人はみな、喜びと悲しみ、

苦しみと楽しみの間を、バランスをとりながら

経験を積み重ねて成長していく・・・・。


 この物語は「悲しみと苦しみ」を否定的にではなく、

ちょっと角度を違えて見れば、いろいろと効用もある

ということや、悲しみと苦しみが人生にもたらす

滋養のようなものについて、書いています。


 現在、何かで悩める方が、この「続・金色の耳」の

お話を通して、少しでも気持ちが楽になって頂ければ

著者としては、しあわせです。

 続編からでも単独で読めるようになっています。


 それでは、今日もみなさま、

新たな発見のある、いい一日でありますように☆





書籍「続・金色の耳 ~なぜ悲しみや苦しみがあるの?~」

⇒ http://miki-kikkawa.com/books/golden-ear-4.html