みなさん、こんにちは!
本日の「きっかわみきの物語」部分公開は
「続・金色(きん)の耳
~なぜ悲しみや苦しみがあるのか~」の
「カシの木」の章からです。
この物語、風変りな姿をした<花>が、
生き物にはなぜ悲しみや苦しみがあるのか、
その答えを求めていく物語なのですよ。
<花>の周囲の様々なもの(太陽、ボタン雪、満月、星、
稲穂、山、花の女王・・・)が
その問いに答えていきます。
今日はその中から、カシの木の章を・・・・☆
沼の周囲は、冬枯れの中にも既に春の予感が兆し始めていた、そんなある日のことです。
<花>は沼に大きく枝を張り出していて、いつ見てもいきいきと変わることがない、一本の木に目をとめました。
その木は青々とした緑の葉を繁らせていて、日の光を燦々(さんさん)と浴び、まるで「永遠の木」として祝福されているようです。
その「永遠の木」に見えるものは、カシの木でした。
(まわりの木はみんな、葉を落としているのに・・・。カシの木さんだけは一年中、青々と緑の葉を繁らせている・・・。葉が落ちて、枯れ木になるということはないのかしら・・・)
すると、その<花>の心の中の思いは、どうやら木に届いたようでした。カシの木からは答えが返ってきました。
「それはね、そう見えるだけなのさ。本当は僕も葉が落ちているのだよ。春になって新しい葉が出る時に、古い葉を落としてどんどん入れ替わるので、枯れ木にならず、ずっと緑に見えているだけなのさ。でも・・・」
「でも・・・、ってカシの木さん、なあに?」
カシの木は遠慮がちにも、しかし思うところを話し出しました。
「僕はこれまで、まわりの木から、いつも言われてきたよ。『自分たちは、葉が落ちてこんなにみすぼらしくなるのに、君は一年中元気な姿でいいなあ』ってね。でも、本当のところは僕も大変なんだ。寒い冬をずっと葉をつけたままでもちこたえ、春には次々と葉を入れ替えて、変わらず同じ姿でいるかのようにしているのは、実はとても大変なことなんだ。同じ木の仲間でも、冬にすっかり葉を落とす他の木には分からない努力なんだよ」
<花>は思いました。
(私の知らないところで・・・、カシの木さんはそんな努力をしていたんだ。しかし・・・、であれば・・・、そんな忍耐強い努力家のカシの木さんなら、なぜ生き物に苦しいことや悲しいことがあるのかを知っているかも知れない・・・)
さて、みなさん、カシの木が「生き物にはなぜ悲しみや
苦しみがあるのか」に答える肝心の言葉は、この後に続くのですね。しかし、その前に、カシの木はとても大切なことを
言っています。
───本当のところは僕も大変なんだ。寒い冬をずっと葉をつけたままでもちこたえ、春には次々と葉を入れ替えて、変わらず同じ姿でいるかのようにしているのは、実はとても大変なことなんだ。同じ木の仲間でも、冬にすっかり葉を落とす他の木には分からない努力なんだよ
他からは分からない努力、見えないところでの奮闘、そんなことを言っているのですね。
人は悲しい時や苦しい時、ついつい自分だけがそのような状況だと思いがちで、周囲で何事もないようにしている人をうらやましく思ったりするものです。他の人が楽をしている面や良い目をしている面だけがクローズアップして見えるものなのですね。
しかし実は、なんの、なんの、そのような人にはそのような人なりの、陰での努力がある、カシの木はそれを懸命に<花>に伝えようとしています。
今日はここまでですが、また今度、カシの木の優しくも力強い励ましの答えを、アップいたしますね。
さてはて、このお話の続きで、カシの木が答える内容とは、どのようなものと想像されますか?
この物語は、現在、悲しんでいる人、苦しんでいる人に少しでも楽になってほしいと思って書いた癒しの物語ですので、ご興味のある方は読んでみてくださいね。
筆者としては、この物語はとてもオススメです。「続」となっていますが、いきなり、この続編から読めますので☆
それでは、また・・・。
書籍「続・金色の耳
~なぜ悲しみや苦しみがあるの?~」