みなさん、こんにちは!

本日の「きっかわみきの物語」部分公開は

「鹿の祈り」からです。

今日は、第1章の物語のまさに始まりの部分ですよ。

それでは☆




1

 それはもう気の遠くなるような、はるか昔のこと。

リンバは最初、オス鹿として、この世に生を受けました。

リンバは大層、姿形の美しいオス鹿でした。

しかし、困ったことが一つありました。

それは、前脚が不自由なことでした。


「この前脚さえ自由なら、どこまでも走ってゆくことができるのに……」


 リンバの周りでは、仲間の鹿たちが自由に駆け回って遊んだり、ある時は肉食動物から身をかわすのに、飛ぶように速く走り抜けたりしておりました。

 リンバはそんな仲間の自由自在な動きを見ていると、うらやましくて仕方がありません。

リンバは、いつしか祈るようになっていました。


「神さま、どうか僕の前脚を丈夫な脚にして下さい。自由に動くようにして下さい」


 しかしある時リンバは、肉食動物に狙われ、とっさに逃げることができず、不意打ちを食らうようにして食べられてしまいました。

 こうしてリンバは、不自由な前脚のまま、その生涯を閉じました。


さて、みなさん、この物語はこの後

リンバが10回生まれ変わるというお話です。

生まれ変わる度に

環境が変わり、リンバにとって悩みの種は変化し、

そしてその度にリンバが祈る内容は変わっていく・・・

そういうお話です。

最初の人生は前脚が不自由で「脚さえ自由なら」と思い、

次の生は脚は丈夫に生まれるが、どこまで歩いてもカラカラの大地で「水さえあれば」と願い、

その次の生では、水は豊富にあるが、そこは水をめぐって争っている戦地で「この戦いさえなければ」と祈る・・・

さらに次の生では、リンバは平和な王国の王の息子として生まれ、何不自由の無い生活に恵まれるが、何かしら満たされないものを感じていく・・・・・

このように、リンバの環境はめまぐるしく変わっていくのです。

さて、さらにその後、リンバの環境はどのように変わり、

祈り(願うこと)はどのように変化してくのでしょう?

そして最後の10回目の生では、はたして

どのような祈りに到達するのでしょう?

みなさんは、生き物が最終的に到達する祈りというのは、

どのようなものだと想像されますか?

これは生き物の魂の成長の過程を描いた物語でもあり、

祈りとはどういうものか、

祈り(=思い、願い)についていろいろ考えるきっかけを

投げかけている物語でもあります。

みなさんは、今、どんなことを願って(祈って)おられるでしょうか?

今日は、ふだんご自身がしょっちゅう考えていることは何か、

思い返してみて下さいね。

なぜなら、ふだん考えていること、心に映像を思い浮かべていることが、いずれ現実化してたちあらわれてくるのですから・・・☆

それでは、みなさん、今日も素敵な一日をお過ごし下さい!








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