みなさん、こんにちは!

本日の「きっかわみきの物語」のお話部分公開は、

「青いをもった木」からです。

「時計草につかまった蝶の巻」の第21章からですよ。

それでは・・・☆



さて、ひとしきり話すと、蝶は我にかえったようになって木に言いました。

「ところであなたもひょっとして、恐ろしい思いをしてここに放り出されまして?」

「いや、私は生まれた時から、ずっとここにいる。ずっと、ここにね……」


 私は子どもの時ここの部分で、どうして木は「ずっとここにいる。でも、私はどこへでも行けるのだ」と、大鷲以上の高速であちこち飛んでゆけることや、透明になってどこへでも訪ねて行けることを言わないのだろうと歯がゆく思ったものです。


 しかし木はその後、こんな不思議なことを蝶に語り始めたのでした。

「でも、生まれる前は遠い遠いところにいたのだけれどね。我々生き物が計る長さの単位や時間の単位とはまるで違う単位の、遠い遠いところ。君もそうだ。いのちはすべて、遠い遠い星のかなたからやってきたのだよ」


 蝶は「遠い遠い星の……」とつぶやくと、その眼は遠くのかなたを見つめて何事かを懸命に考えているようでした。木はさらに言いました。


「そしていま、私はあるべくしてここにいる。あらゆる宇宙の因果と功徳(くどく)が降り積もり、時が熟して、あるべくしていまここにいるのだ。それは私だけではない。いまここにいる君も、そして石も草も山も小屋も大地もすべてのものは皆そうなのだ」


「あらゆる宇宙の因果と功徳が降り積もり……、時が熟して……」

 蝶は木の言った言葉を繰り返しながら何とか木の話を理解しようと、頭を懸命に回転させているようでしたが、次の木の言葉に特にぱっと顔を輝かせたのでした。


「そしてこの宇宙は、君を通じて自らを表現している。宇宙は君のそのひらひらと優雅に飛ぶ姿や、その羽の美しい模様によって、そして君の内にある知性や優しさを通じて、宇宙自身を表現しているのだよ。あの花畑を駆け回っていた女の子も、あの時咲いていた時計草もそうだ。つまり、全宇宙はその一つ一つのかけがえのないものによって、自己を表現しているのだよ」


「私、自分のことをそんなふうに考えたことなどありませんでしたわ」


 そう言うと、蝶は少し照れたのか、その姿は淡いピンク色にボーッと光ったのでした


さて、みなさん、どのように読まれたでしょうか?

「宇宙はあなたを通じて、この宇宙がどのようなものであるかを表現している」

「みなさんは、宇宙始まって以来の、あらゆるもの・ことの積み重ねと計りようも無い宇宙の功徳と大慈大悲の結果、あるべくしてある」

ご自身のことを、今日はそのような存在なのだと意識してみて頂くとどうでしょうか?

新しいご自身の姿が、浮かび上がってきて、別のご自身を味わって頂けるのではないでしょうか?


ところで、この「青いをもった木」の物語のこの章では、

この後、「時間と空間とはいかなるものか」のお話が

続いていきますよ。

時間と空間の正体とは、どのようなものなのでしょう?

物語でどのように表現されているのか、想像をめぐらせてみて

下さいね。


それでは、また・・・・☆

みなさまの今日が、また新しい発見のある一日でありますように・・・・!





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