みなさん、こんにちは!
本日の「きっかわみきの物語」のお話部分公開は
「金色(きん)の耳」からです。
変わった姿のつぼみが、
見たことのない形の花を開くまでに
ひたすら「私って何?」と
周囲の生き物に
問い続けるお話ですが、
今日は、その中で
つぼみと稲穂が対話するシーンからお届けしますね。
それでは・・・・
稲穂の世界は、
まさに緑の中に燦然(さんぜん)と輝く
黄金色(きんいろ)の世界で、
この世のものとは思われぬ美しさでした。
美しい光景に見とれていた<花>の頭の中に、
ふと、少し前に聞いたカシの木の葉の言葉、
「宇宙を代表する美しさ」
という言葉が思い浮かびました。
と共に、太陽の言葉、
「偉大で貴い何ものか」
という言葉も思い起こされたのでした。
稲穂の光景はまさに、それらの言葉を
思わずにいられないような美しさだったのです。
「何て美しい!そして何て神々(こうごう)しい!」
<花>は何度も何度も、
感嘆(かんたん)のため息をつきました。
そして、そんな感嘆のため息をついているうちに、
この稲穂にも「私って何なのかしら」ということを、
たずねてみたくなったのです。
「こんなに黄金色に輝いている稲穂なら、
どう答えてくれるのかしら」
ところが、いざ稲穂にたずねてみようとしたら、
稲穂は沼の水鏡のずっと遠くにあって、
随分と離れているではありませんか。
大きな声で叫んでも、その声はどうにもきそうにありません。
<花>はがっかりしました。
(稲穂さん、あなたは何て神々(こうごう)しく、
美しいのかしら。
私は本当はそんなあなたにお聞きしたいことがあったのよ。
あなたは私のことを何だと思われるかしらって、
聞いてみたかったのに・・・)
<花>は胸の内で、そうつぶやいたのでした。
ところが、どうでしょう。
どこからかささやくような声で、
返事が聞こえてきたではありませんか。
それは実際、本当に小さな小さな声でした。
声は言っていました。
「そうねえ、あなたは、花。
葉の無い、ちょっぴり変わった花ね。
でもあなたはその花という、
外から見えるだけの存在ではないわ。
たとえば、私の稲穂のこの小さな一粒のお米の中には、
実は無限の世界が広がっている。
それと同じように、あなたの内側にも、
無限の世界が広がっている。
あなたはその内側に、あなたの外に広がるのと同じだけの
広大な宇宙を抱えている存在。
いのちあるものは、皆そうなの。
そのひとつひとつの中に、
無限の広がりをもつ宇宙を宿している」
このささやきの主は、まさしく稲穂だったのでした。
さて、みなさん、
いかがでしょうか?
私は「青い眼をもった木」という物語の中でも、
「一滴の水の中にも仏の国土が広がっている」
という言葉を書いています。
「マクロの中には無限のミクロがあり
ミクロの中にはマクロの世界が広がっている・・・」
ということを、ここではうたっているわけです。
「いま」の現在のこの一点に、
過去も未来もが含まれ、
「私」、「あなた」の一人一人の中に
膨大な先祖も、世界のすべての記憶も、
宇宙の万物も、すべてが入っている。含まれている。
いろいろと言い換えることができると思いますが、
このような様々な意味合いをもたせて書いています。
ところで、この物語の続編
「続・金色(きん)の耳
~なぜ悲しみや苦しみがあるの?~」では、
稲穂が再び登場して、阿弥陀如来か、観世音菩薩の化身かと
思うような、慈愛あふれる言葉を<花>に投げかけるのですよ。
それについては、また今度・・・・。
それでは皆さま、今日も、素敵なかけがえのない一日を
お過ごし下さい。
あなたの中にすべての先人とすべての時と万物が
入っていることを意識しながら・・・☆
書籍「金色の耳 ~私って何?~」
→ http://miki-kikkawa.com/books/book1.html
書籍「続・金色の耳 ~なぜ悲しみや苦しみがあるの?~」