2011年アジアンリゾート撮影記 その8
北部タイ編(チェンマイ5)
2011/JAN/28 Ping Nakara(Chiang mai)
前回までランナーやシャンなど、北タイの伝統的なホテル建築様式をお話してきました。今回はコロニアル ホテルです。話はまた脱線しますが、2次大戦以前アジアの国々は列強(イギリス/オランダ/フランス/スペイン)が強い権益を得るため植民地(コロニアル ポリシー)としていました。
今も当時の風情を留めるマニラ港
そうした背景下、当時の総督や荘園主の社交場として建てられたのがコロニアルホテルです。その形態は本国の建築様式を基本に、熱帯の風土も考慮した施工がなされました。本格的な物は19世紀、サーキーズ兄弟(アルメニア人)などの投資家によりグランド ホテル(ボール ルームを併設)としてラングーン(ビルマ)やペナン(マレーシア)スラバヤ(インドネシア)などの交易都市に建てられました。現在アジアではシンガポールのラッフルズをはじめ10数軒のコロニアル ホテルが嘗ての栄華を保ち、宗主国にちなんでフレンチコロニアルやダッチコロニアルなどの俗称で呼ばれています。
Raffles Singapore ( ブリティッシュ コロニアル)
Majaphahi Surabaya Indonesia(ダッチ コロニアル)
Dalat Palace Vietnam(フレンチ コロニアル)
The Manila Hotel Philippines(スパニッシュ アイアンワークが特徴です)
タイは日本と同様に列強の支配を受けなかったので、歴史的なコロニアル ホテルは王室の離宮があるホアヒンに1軒あるのみです。最近バンコクなどの富裕層の間で隣国に現存する古いホテルや、そのインテリアを再評価する機運が芽生えてきました。ピン ナカラもオーナーのコロニアル様式に対する強い思い入れから2009年に建設されたものです。チェンマイでは最近コロニアル デザインのホテルが増えつつあります。
一般にコロニアル ホテルの特徴はハイシーリング&ファン(高天井と扇風機 )そして床は古いタイルやチークウッド、ルーバー ウィンドウー(鎧戸付きの窓)ポスターベッド(支柱付きベッド)などが上げられます。旧インドシナ(ベトナム、ラオス、カンボジア)のコロニアル建築は伝統的に黄系のペイントが使われた事も特徴と言えます。タイでは洋風な古い建物はジンジャーブレッド(主として軒下の飾り枠)を多く見かけます。ピン ナカラも白亜の壁とジンジャー ブレッドの美しさが際立つホテルです。
部屋のインテリアはチークウッドの床にビクトリア風の家具、バスルームはジャクージ付きのバスタブ、そしてマーブルストーンの洗面台と深いシンクはコロニアル ホテルの定番です。1階にはハイティーのラウンジも設けられています。またナイトバザールやチェンマイの中心街まで徒歩5分の距離にありどこへ行くのも便利です。
3週間の長いタイ取材も無事終了し明日帰国致します。今回の撮影でタイリゾートの質の高さ、またデザインの革新性を改めて痛感致しました。そしてチェンマイなど北タイのリーズナブルなホテル料金も魅力です。北タイのベストシーズンは11月~2月、みなさんもこれからタイ旅行を計画されては如何でしょうか。
私事恐縮ですがコロニアル ホテルにご興味がおありの方は「アジアのコロニアルホテル」PARCO刊をお勧めします。古い本ですが、Amazonの中古本でお求め頂けます。詳しくはe-book/P97をご覧ください。