「24時間以内・・・と 考えています。」
その日が来ました。
父はこの前日、お風呂に入れていただいていました。
亡くなる前日にお風呂・・・これは もちろん その日が近い ということで入れていただいたのだと思いますが、前日というのは 先生方は「明日だ。」とわかってらしたのでしょうかね?
普通の病院だと 亡くなる前日にお風呂というのは無いと思いますね。
それだけホスピスの先生方は見極めのプロなんでしょうね。
とにかく 前日にお風呂に入れていただき 足のむくみも適度(!?)だったためピッチピチの若者の足のようで 父の足はピッチピチのピッカピカになっていました
ただ、足だけはピッチピチの若者になっていた父ですが それ以外はやせ細り その日は朝から苦しそうで息を吐くたびに自然と「あー・・・」と声が出てしまうようでした。
「我々が痛み等のコントロールをできるのは ここまでで、これからおそらく『身の置き所のない』痛みや辛さというものが出てくるのですが それらをお抑えるには眠っていただくしかありません。」
「ただし、この薬は かなり強い薬なので お父様の場合 もう目が覚めることはないと思います。」
もう目が覚めることはない・・・?
今は苦しそうではあるけれど しっかりと目を開いて私たちのことを見ているのに この薬で眠ったら もう目が覚めることはない?
『もう目が覚めることはない』 それは この時まで48年間生きて来た私が 初めて聞いた 不思議なフレーズでした。
更に医師は続けます。
「本来でしたら この薬を使うタイミングはご本人に伺うのがベストですが、もう、ご本人から確認を取ることは難しいので ご家族に判断していただくしかありません。」
「ご本人がとても辛そうにされていて ご家族が お父様に眠っていただいてもいいと思えた時 声をかけてください。 いつでもいいです。我々はいつまでも待っていますから。」
父の死を私たちが決める? 決めなくてはいけない?
私と母は顔を見合わせました。