日本のドラマは誰に向けて作られているのか?
この1年間、60代以上の女性から「日本のテレビドラマはつまらない」という話をよく聞く。自分の親戚関係も同様な事を言っている。じゃあ何を見てるのかと言えば、韓国のドラマだ。韓国までロケ地を見にいったり、グッズを買ったりしてるような熱狂ぶりではない。単純に、韓国のドラマの方が面白いと言うのだ。もちろん出演者の名前など覚えていない。「この人、チャングムに出てたよね」とか「踊り子の時のドラマで悪い人だったよね」とか、そんなレベルだ。80年代に入るまでの日本は、お茶の間にテレビが1台という家庭が多かったので、大人に向けたドラマが多かったように思う。子どもたちは夜の8時や9時には寝るように言われ、起きていたとしても親たちが見る番組につき合うしかなかった。80年代後半にトレンディドラマという分野が成功した後には、20代~30代に向けてドラマが多く作られていった。90年代から徐々に、年齢の高い人が見るドラマが日本では作られなくなっていった。そして今、若年層もテレビ離れが進み、ドラマの視聴率は下がる一方、そして高年齢者の見たいテレビドラマも無いという状況。一体、日本のテレビドラマはどこに向かっていくのか。テレビ局と代理店の虚像とも妄想とも思えるようなの中で想定されていた視聴者。そんな特殊な世界が、インターネットの普及とともに音を立てて崩れているように思える。ドラマである以上、ストーリーを中心に作り上げていかなければ、視聴者に飽きられるのも当たり前。企業とのタイアップばかり考えず、ちゃんと”人”を描いてもらいたいものだ。