ゼロの焦点 | DAIのブログ

ゼロの焦点

松本清張生誕100周年記念で再映画化された『ゼロの焦点』

松本清張原作と聞くと、どうしてもどっしりとした見応えのある
社会派ミステリーを期待してしまうが、
今回の作品はライトな仕上がりになっている。
再映画化という事で、過去の作品とどう違いをつけるか
悩んだのではないかと思う。
その結果、今の若年層にも受け入れられるような作りに
なったのではないかと勝手に想像した。

受け取り方は様々だと思うが、自分としては物足りなかった。
やはり昭和32年当時の世相、戦争の影響を
もっと丁寧に描いた方が良かったように感じる。
そうする事によって、3人の女性の苦しみや鵜原の葛藤が
観客に伝わり、作品に深みを与えたのではないか。
これはたまたまではあるが、広末が出演していた
『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』でも感じた事だ。

時代性・社会性を強く意識して作られた原作を映画化する時に、
その部分を薄めてしまうと、登場人物の深みを薄めてしまう事になる。
ここは少し難解になる事になっても、
しっかり描いて勝負してもらいたい。