さまよう刃 | DAIのブログ

さまよう刃

苦悩する父親役が寺尾聰という事で、
それほどはずれは無いと思って観た『さまよう刃』
久々に、その予想をはずしました。

出演者は、それぞれいい演技をしているのだけど、
脚本の出来が悪すぎる。
さすがに役者の力だけじゃ、盛り返せない。

2時間という短い時間でキャラクターをしっかり伝える事は
難しいとは思うが、それが出来てこその映画。
娘をレイプされ麻薬を打たれ殺されてしまう父親。
復讐に燃える気持ちは、説明不足でも何となく理解出来る。
しかし犯人の一人を殺し、最後に父親の考えが変わって行く様子が、
全くと言っていいほど描かれていない。
また、その他の登場人物も
復讐とは言え人を殺してしまった父親に、
気持ちが悪いほどに同情的だ。
それに加えお粗末な設定もちらほら。

おそらく原作を読んでいる人が
この映画を観たら、怒ってしまうのでは?

それにしても、今年に入って公開されている
日本映画の質の低下には驚かされる。
テレビ局主導の製作環境(作品内容より効率性と収益性)や、
脚本開発の質の低下(効率性の影響もあるが)に
大きな要因があるのは間違いない。
今年公開された作品は、一昨年から去年に作られたもの。
この状況では、しばらく日本映画の低迷が続きそうだ。