前回シンプルな3つの原理を分かり易く書きましたが、今回は多少かしこまった言い方に変え、整理方法を変えました。言わんとする意味は同じです。
「真贋を判断する経済の絶対的原理原則とは」
シンプル且絶対的な経済原理をもとに考えることです。そうすれば惑わされることはありません。
次にあげる3つは絶対的な経済の原理原則です。加えて2つの考慮すべき経済に関する重要事項を理解すれば、たとえどんな難しい専門用語や高邁な理論で一般人には理解不能であっても、シンプルな原理=真理に合っていなければ、いかがわしい物、合っていれば間違っていないと考えて間違いないです。
絶対的経済原理
1.貸借は均衡する。よって対称である。
(⑴誰かがお金を払えば、誰かが同額を受け取る。⑵誰かの債務(借金)はそのまま誰かの債権(相手に請求できる権利)、それは、複利が付こうが複雑なデリバティブが途中に入ろうが同じ。)
2.国民の経済的豊かを決めるのは、総生産量と生産者と非生産者の割合
及びその分配の仕組みである。
経済の基本的な原理の一つを簡単に言うと、生産者と非生産者の割合ということが出来る。また、総生産量をどう分配するか?生産量=質×量であり、分配する権利、何を生産し何を分配・消費するかの権利は誰が持っているのか?あるいはどのような仕組みの元それが決まっていくのか?ということが、国民の経済的豊かさを決めている重要な要素である。
生産者が全体の2割で、非生産者が8割それを全体の10割で配分するとすれば、国民が豊かになりようがないです。非生産者のなかには、子供がいたり、労働することができない高齢者や、理由があって働けない人がいるかもしれません。
そのような人を保護する仕組みは大切ですが、働けるのに働かない人や、過度な権利や資産があり働かなくて良い人たちの割合が極端に多くなると国は疲弊します。MMTが主張する通り、経常収支が黒字で自国通貨を発行する政府は、自国通貨建ての累積政府債務がいくら巨額になろうとも、市場の供給能力を上限に貨幣供給をして需要を拡大することができ、財政破綻になることはないというのは確かであるものの、巨額の財政出動をした結果国民の紙幣が極端に増え働かなくてよくなると、国内での生産が減るわけなので輸入に頼ることになり経常収支は赤字になり、最終的に国は破綻します。
巨額の財政出動をし累積債務がいくら増えても何の問題もないですが、一番気を付けなければいけないのは、財政赤字などではなく、生産者と非生産者の割合と経常収支です。よって財政を拡大するときは生産者の割合が増える施策と、国力が増す施策(輸出競争力が増す施策:経常収支はプラマイゼロでも構わない)に重点を置いて、財政出動の拡大を行うべきであり、それができていれば累積政府債務がいくら巨額になろうとも何の問題もないのです。
というよりも国を豊かにするためには積極的に生産者の割合が増える施策と、国力が増す施策に重点を置き財政出動を果敢にすべきです。
そうすればいくら累積赤字が増えようと国が破綻するどころかますます国は豊かになります。累積赤字を返済することを考え(例えば消費税増税などを)政策を実施していくと国はますます貧しくなります。それが基本的な経済の原理です。
3.価値の本質は顕在化された価値であり、それを生み出すため潜在的価値が必要である。
⑴顕在化された価値: 自然、生産物、サービスの提供など価値の享受がなされた時初めて価値は顕在化し完結する。
⑵潜在的価値: 顕在化する以前の資産。あるいはそれを生み出すための無形有形の資産。
いくら農産物を生産しても、在庫として持っていても、腐ってしまえば、価値は完結せずに無価値となってしまいます。人々が食して、栄養となって、美味しさを享受して初めて価値は完結します。諺で言えば、「捕らぬ狸の皮算用」「勝負は下駄をはくまでわからない」のように結果として表れていないものは価値が完結しているとはまなされません。
価値の享受の積み重ねが、真の価値を形成しています。それ以外は仮の価値です。国において経済的に豊かというのは、国民全体の価値の享受の総量が毎年毎年多いという事であります。
そのためには国力が高い事が必要であり、顕在化される価値の創出や、それに繋がる確度の高い潜在的価値を持つことが必要です。(殆ど使用されることのない資産は最終的な価値につながる確率は極端に低く、価値が享受・顕在化されることはほぼないでしょう)これのみが価値を生み出し、これのみが実態であり実質です。
一方紙幣は、貸し借りの証として生じるものであり、全体としては、ゼロですので富でも何でもありません(貸借にすぎません)。契約書類は、貸借あるいは、権利について、所有について定めたもので、これらのものは、価値・資産が誰に属するか(所有)や配分を法的に定めるものです。
ただ、何かのきっかけで大きなひずみが生じたら経済活動に弊害が出ます。特定の人が多大な紙幣(マネー)類を所有していたら、経済活動はその人の嗜好が強く反映されます。
全体として見たら実際の価値は、3.のみです。紙幣ではありません。
国の場合は、例えば財政は、顕在化された価値や、それにつながる潜在的価値を増やす事に積極的に使われるべきで、決してその逆ではありません。全体としては、紙幣は常にプラスマイナスゼロであるので正しい方向につかっているのであれば、いくら財政赤字になろうともそれのみを持って気にする必要はないのです。(プラスの資産でもなければ、マイナスの資産でもないため気にすること自体無意味です。)
(資産とは自然物、作られたもの、情報、知識や知恵、仕組みやあらゆるサービスを含む)
考慮すべき経済に関する重要事項
4. 法律、税、利子、債権、特許、契約等による権利や徴収とその配分が経済に与える影響
働かなくても補償を充実させれば、労働意欲が低下します。利息が高ければ投資意欲は減退しますし、利息が低くなれば投資意欲は高まります。一企業が特許や多大な権利を拡大していけば、それを使用する企業や個人にとっては税金のようなもので、その使い道はその権利を保有するものが決めることができます。
多くの人、全世界の人が使用するものに関しては規制をしていくことも必要になります。
5. 行動原理の法則
これは上記4.とも大きく関係しますが、働かなくても補償を充実させれば、労働意欲が低下します。利息が低くなれば投資意欲は高まります。と述べましたが、個人個人がどう考えるかで、かならずそうなるというわけではなく、人々の本能を考えたり、アンケートや統計から今後も確率的にそうなるであろうと推測するものです。
多くの人は生存本能があるので、命の危機があれば逃げたり戦ったりし、自ら死を選ぶ人は少数であると予測できます。よって、お金をたくさん配れば、たくさん消費すると推測できるわけです。ただ、思ったより消費しないという可能性はあります。