写真:「三日月写真教室」前の通りで工事をするハワイの電気会社 HELCO の作業員。
近所のおばちゃんが「修理に来てくれてほんとうにありがとう。あなたたちに神のご加護がありますように…」と声をかけていました。ちょっと…いや、かなり感動的なシーンでした。

まずは、台風11号の被害にあわれた皆様・広島市の豪雨災害の被災者の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
ここ、ハワイ島・プナでも、8月7日にハリケーンが直撃し、大きな被害となりました。
とは言え、ハワイをハリケーンが直撃するのは22年ぶりのこと。
台風や地震など、日本は天災の多い国なのだとあらためて実感しています。
今回のことで、災害には「備え」が最重要だと学ぶことができました。
そこで、ハワイ時間2014年8月7日の夜にハワイ島を直撃したハリケーン Iselle についてのレポートをまとめました。
これは、私自身への「備忘録」でもあり、「夏に起こる災害」への対策の参考になるはずです。
今回の災害で学んだことを、しっかりと今後の教訓にしていきたいと思っています。
ちょっと長くなりますが、参考までにご一読いただければ光栄です。
===今回の災害について===
今回のハリケーン Iselleは「カテゴリー1」。ハリケーンの強さとしてはいちばん低いランクですが、台風のクラスで言うと「クラス4」程度。
【建物への被害はないが、木の枝が折れたりする】という定義の、日本ではきっとそこまでの被害はないだろう…という程度のものでした。
ただ、ハワイをハリケーンが直撃したのは22年ぶりとのことで、ハワイそのものがハリケーンに対してまったく無防備でした。
それに加え、今回のハリケーンで最大の被害があった「プナ」地区は、ここ数年の急激な人口増加(家屋増加=古い木製の電柱に、電線増加)に加え、「アルビジア」などの大きくて脆い木が鬱蒼と茂るジャングル地帯。
また、この周辺は火山に近い溶岩台地で、植物が根を張るには浅い土壌なので、強風に耐えうるほどの深い根を持つ木々がそもそも存在していません。
ということで、今回の被害の原因のほとんどは「大木の倒壊」によるもの。
道沿いの木々が電線を切断してしまったり、電柱そのものが折れてしまったりしたことによります。
以下は、今回のことで、私が学んだ「災害対策」です。
自分自身の「メモ」代わりに、記しておきます。
===停電対策について===
【水】
・風呂桶いっぱいに貯めておく
電気が使えないと水も出なくなることも。
トイレ、皿洗いや、体を拭いたり、顔を洗ったり、歯を磨いたり…に使用できる
【冷凍庫】
・パンパンに詰める→開けなければ2~3日は保つ。隙間が多いと保温力は落ちるので、冷凍庫をパンパンに詰めておくのも、悪いことばかりではないみたい。。。
・水を入れたペットボトルを常に入れておく→氷代わりになり、さらに数日は保つ。水を溶かせば飲料水にも
【冷蔵庫】
・なるべく開けない
・ほどほどに詰めておく→隙間が多いと保温力も下がる
【支援物資メモ】
・夏の場合:氷が必要
【充電について】
・車のガソリンは常に満タンにしておくこと!
・携帯や電池など、車で充電できると便利→車で充電できるチャージャー(プラグ)を用意しておくこと
・車にはジェネレーターを繋ぐこともできる
・車があれば、夏は冷房・冬は暖房が使える
【電池】
・常に備えておく
・停電してしまうと充電式は使えなくなるので、電池はいつもフルで充電しておくこと
【電話】
・家の電話線が切れてしまっても、携帯は通じる場合が多い
・→反対の場合もあるので、携帯だけでなく、家にも電話を引いておくこと
・情報発信&収集の手段として【ツイッター】は最強。避難所の情報や支援物資配布場所などのリアルタイムの情報が入手できる
・取り急ぎの安否確認の方法として【フェイスブック】や【LINE】も有効
【停電時においてはソーラー最強!!】
・可能なら、自宅の電気システムをソーラーパネルに替えたほうがいい
【食料】
今回は、30分ほどドライブしてヒロまで行けばスーパーもレストランも通常営業…ということで、食料に関してはまったくトラブルなし。ただ、災害時には「あたたかい食べ物」が恋しくなる傾向があると思われるので、バーベキューグリルやガスボンベで使えるコンロなどがあると便利
そして、奇しくも「被災者」としての体験をしたことで、初めてわかったことをいくつか…。
いちばん悲しかったのは、人の無関心。
被害を受けたプナ地区に比べ、ヒロの町(プナからは車で30分ほど)でさえもほとんど影響がありませんでした。そのためか、ヒロやコナの住人たちのプナの災害への関心は薄く、友人のフェイスブックを見ていても、アップされるのは、なんとまぁ、のんきなことばかり。
…いや、別にいいんですよ。
いいんですけどね。。。
「知り合い」がこの辺りに住んでたはずだよね…くらいには気にかけて欲しいものなんです。
なにしろ、この地区の住人たちは電気がなくネットも使えないので情報発信すらままならず、現状が伝わるまでに多少の時差があったのも事実です。
そんな中、心配をして連絡をくれる友人たちの心遣いが、ほんとうにうれしく感じました。何をしてほしいわけでもなく、ただ、気にかけてくれているというだけでとてもうれしい気持ちになりました。
意外な人が気にかけてくれて、手を差し伸べてくれたりして、こういう時こそ「人の器」というものが表に出てくるんだなぁ…と、自分自身を省みる良い機会にもなりました。
…ただ、「被災者」というのは、卑屈になりやすくなってしまっているものなんですね。(私だけかもしれませんが…)
逆に、長年の付き合いなのに連絡もくれないあの人や、フェイスブックでくだらないことをアップしているあの人のことなどを考えてしまったりも、正直、しました。
こういう時に、自分が築いてきた人間関係が跳ね返ってくるんだなぁ…と反省してみたり。
でも、人って、こういう時に助けてくれた人のことは忘れないと思うんです。たぶん。
だから私も、こういう時に誰かの力になれるような人間になろうと思えた、いい勉強になりました。
そして、停電期間中にいちばんつらかったのは、電気が使えないことそのものよりも、「いつ復旧するのかわからない」ということ。
たとえそれが1ヶ月だとしても、最初に「1ヶ月後に直ります」と言われていれば、心の準備もできて、ここまで消耗はしなかったと思います。
どこかにでかけて帰ってくるたびに、道沿いに電気会社のトラックを探し、家に入るたびに電気がもどっていないかをチェックする。そのたびに「まだか…」とガッカリする。。。
期待し続けて、裏切られ続けるのがいちばんつらいんですね。
でも、「喉元すぎれば…」が当てはまるのも、人間の、悲しい習性。
私自身、電気が復旧した途端に、あんなにつらかった停電の日々を「けっこう楽しかった」とさえ思ったくらいです。
「過去に学ばない」ことほど愚かなことはありません。
ハワイ島では、今回のほとんどの災害の原因とも言える、大木・アルビジアを撤去する義務を法的に設定する動きが始まっています。
カウンティやハワイ州も、災害時の対策についてたくさんのことを学んだはずです。
私自身も、いろいろなことを省みる良い機会をもらいました。
この記事を、何かの参考にしていただければ光栄です。
ハワイ島・三日月カメラ
石川結雨子
