林泉寺の歴史

【林泉寺レポ　１/６】

林泉寺（りんせんじ）は、春日山城のふもとにあるお寺。

越後国守護代長尾氏、そしてその後裔である上杉氏の菩提寺として知られています。

曹洞宗で。山号は春日山（かすがさん）。

【創建したのは謙信の祖父】　

創建は明応六年（１４９７）。

当時の越後守護代・長尾能景（よしかげ）が亡父の17回忌供養のため曇英恵応を開山に拝招して創建しました。

この長尾能景（よしかげ）という人が謙信の祖父です。

能景とその子・為景（つまり謙信の父）の保護を受けて守護代長尾氏の菩提所として発展しました。

【謙信、学問を学ぶ】

天文五年（１５３６）に為景が死ぬと為景の末子・虎千代（のちの上杉謙信）は７歳で林泉寺に預けられ、１４歳で呼び戻され元服して景虎と称するまで、林泉寺の六世住職・天室光育から学問を学びます。

景虎がのちに上杉氏を継承し上杉輝虎を称すると、林泉寺は上杉氏の菩提寺となります。

輝虎は七世住職益翁宗謙のもとで参禅し、元亀元年（1570年）に剃髪したとき師の諱から一字を取って不識庵謙信と号します。

上杉謙信の誕生ですね。

天正六年（１５７８年）に急死した謙信の遺骸を収めた棺は、謙信の号のもととなった春日山城内の不識院に埋葬されましたが、謙信の養子・景勝が慶長三年（１５９８）に会津へ、慶長六年（１６０１年）に米沢へと移封されたのにともなって米沢へと移されました。

通説では林泉寺もこれにしたがって移転したとされています。

開山以来の袈裟と持鉢は上越市の林泉寺に残されており法統上の正統を伝えています。

なので林泉寺は２つあるんです。

●　長尾氏の居城・春日山城（現在の新潟県上越市）の山麓に建立された上越市の林泉寺。

●　江戸時代初期に上杉氏が移封先の米沢城下（現在の山形県米沢市）に建立した米沢市の林泉寺。

【江戸時代以降も大切にされた林泉寺】

上杉氏移封後は春日山城下に残された林泉寺は一時衰退しますが、するが上杉景勝に代わって春日山城主となった堀秀治によって再興されます。

そして、

●　春日山城主・堀氏

●　堀氏改易後高田城に入封した松平氏

●　18世紀前半から明治維新まで高田藩に在封した榊原氏

などの歴代の上越地方の支配者により菩提寺として尊崇を受けました。

ちなみに林泉寺には、堀家三代、堀秀重、堀秀政、堀秀治の位牌と墓があります。

また江戸時代の林泉寺は、江戸幕府の二代将軍・徳川秀忠から御朱印で寺領224石を授けられ、高田藩主から禁制の特権を与えられていました。

しかし寛永年間及び弘化四年（１８４７）の二度の火災で本堂や山門などが焼失してしまいますが、大正十四年（１９２５）、上杉謙信公生誕400年を記念して山門（二重門）が再建されます。

そして平成九年（１９９７）、開創500年を記念して新たに本堂が建立されました。

境内には上杉謙信の墓所、川中島合戦戦死者の供養塔があり、惣門は春日山城の搦手門を移築したものと伝えられ、現存する唯一の春日山城の建築物となっています。

また、山門に掲げられた「第一義」の扁額は、謙信の直筆とのことです。

（宝物館で保管され、現在掲げられているものは複製です）

※　続きを読む　⇒　林泉寺のアクセス