— 水に入る前のいちばん大切な時間 —
水中撮影というと、
技術の話をよく聞かれる。
どれくらい潜るのか。
何秒息を止めるのか。
光はどう作るのか。
でも、いちばん大事なのは
水に入る前の時間だ。
僕はまず、撮らない。
話す。
長く話す。
今回の作品撮りでも同じだ。
まず聞く。
「なぜ、やろうと思ったのか」
水中ヌードは、
軽い決断ではない。
寒さもある。
不安もある。
恐怖もある。
だからこそ、
覚悟の確認をする。
僕が決めるのではない。
一緒に決める。
コスプレイヤーさんを13年撮ってきた。
彼女たちは演者だ。
キャラクターを理解し、
動きに意味を込める。
僕は原作を知らない。
だから、ずっと聞いてきた。
「そのキャラは、どんな呼吸をする?」
その姿勢は、今も変わらない。
今回のモデルにも聞く。
「どんな自分を残したい?」
「何を脱ぎたい?」
ヌードは、
服を脱ぐことではない。
緊張を脱ぐ。
遠慮を脱ぐ。
守りを脱ぐ。
水は嘘をつかない。
水の中では、
強がれない。
だからこそ、
信頼がないと入れない。
撮影前、
僕は必ず言う。
「無理はしない」
「怖かったらやめる」
「苦しくなったらすぐ上がる」
美しさより、安全。
完成度より、信頼。
それがなければ、
滲む瞬間は生まれない。
水の中で起きる奇跡は、
技術ではなく、
対話の密度で決まる。
13年間、
それを学んできた。
だから今回、
初めての“作品撮り”でも、
やることは変わらない。
話す。
聞く。
待つ。
水に入る前の空気が、
そのまま写真になる。
レーベル名は
AQUA VEIL。
ヴェールの向こうにあるものは、
信頼だ。
3月4日、撮影。
発売は3月15日。
水に入る前のこの時間も、
すでに作品の一部だと思っている。
続きは、また明日。






