この日は、

何となく不安になり、めったに仕事を休まない私がお休みして夫と過ごしました。


もうひとりでは歩けなくなってました。

市から介護ベッドも借りてたんだけど、最後まで2階に上がり私の隣で寝てたんです。

うちは2階にトイレがないから、夜中大変で寝る時にはおむつをしてました。

負けず嫌いで気が強く、人の言う事は全く聞かない人がおむつをするのはどれほどつらかった事でしょう。


一度夜中にうんちがしたくなり、おむつには出来なくて、漏れそうになるのを我慢して、1階までおります。

ひとりでは降りれないから、ふたりで大騒ぎしながら。

私も睡いのもあり、もう下で寝ようよと言うと、一度下で寝だしたらもう二度とおまえと寝られなくなると涙をながす。

じぁね

ギリギリまでふたりで寝ようねと私も心を決める。


仕事を休ませて申し訳ないから畑へ行こうと。

畑にある古民家をDIYでリフォームしているのだけど、2階には上がれないから私ひとりでやってます。

去年は旦那さんがやるのを私が手伝ってたのに。

悔しくて作ってあげられないと泣きます。

余命宣告をされてからよく泣きました。

出来る事何かやりたいと、座って出来る小さな賽銭箱を作っていて、この日仕上がりました。

その後、道具は大切にしなきゃと道具箱をきれいに片付けて、私の手を取り、カンナのやり方を教えてくれました。

後で道具箱を見ると、カンナがタオルで大切に包まれてた。


これが大好きだった畑に行くのが最後となりました。


帰りの車

明らかにいつもとは違う

いつもはたわいも無い事をしゃべりながら帰るのに、この日は車に乗ると直ぐ目を閉じます。

何かしゃべっているけど聞き取れない。

手を前にのばしたり、不思議な動きをしてる。

たまに目を開けるといつもの旦那さん。


半分違う世界に行ってたのでしょう。


携帯を見てほしいと言われ、旦那さんのラインを確認。

旦那さんはラインができません。

昔の彼女からのラインが未読です。

開くとそれは去年の夏に病状を心配した内容と45年前に付き合っていた時の事、そして今元気に頑張っている事が離れて暮らす元恋人への愛であると。

今も昔も大切な人に変わりないと。

私も胸がいっぱいになる。

この人達はツインソウルだと確信しました。

ツインソウル独特の愛。

旦那さんにラインを見せて、私からもう長くないから一度会いに来てあげてほしいとライン。

4月2日に会いに来る事になりました。

結局2日まで待てずに、ふたりは再会する事なく夫は旅立ちました。