芝居をしている瞬間が好きだ。

本番に向け悩む時間が好きだ。

世界が出来上がっていく様が好きだ。

公演が始まり、客席と空気を共有する瞬間が好きだ。

他には何もいらないと思う程の高揚感。

ひととき孤独も悩みも何もかも消し去ってくれる。

あるいはそれに勝るものを与えてくれる。

ほんの一瞬かもしれない。

そこにどんな意味があるのかはわからない。

けれどその瞬間のために生きている。

もしもほんの少しでもそう思ってくれる方がいるのならば演劇というものの存在意義はあるのだと思う。

自分のためである。

けれど自分だけのためではない。

そんな時間。

これからもそんな時間に死ぬまで生きていたい。

そこに在るものに最大限の感謝。

その感謝を忘れずにいよう。

何の上にその時間があるのかを忘れずにいよう。

そして出来ることを精一杯しよう。