このブログでは、表現の自由についてたびたび取り上げています。
最近では、
産経前ソウル支局長無罪判決と表現の自由
韓国教授の訴追について その1~学問の自由と表現の自由~
韓国教授の訴追について その2~学問の自由と表現の自由~
をタイトルに書きました。
数日前に高市早苗総務大臣(自民党)が、放送局が政治的に公平でない放送を繰り返した場合、電波停止の可能性を放送局に命じる可能性に言及しました。これは表現の自由を大切にする国の大臣として軽率だったと言わざるを得ません。
確かに電波法では、放送法に違反した放送局の運用を所轄の大臣が放送を一定期間停止できると定めています。放送法では第4条で政治的公平を求めていますが、それは放送局の影響力の大きさを考え、また戦時中にラジオ局が戦争協力を行った反省に基づいたものです。
しかしながら、「政治的公平」とうのは、各人の置かれた立場によって異なるでしょうし、視聴者の判断を仰ぐべきことに思われました。しかも、今でしたら偏向報道を感じた視聴者からすぐにツイッター等で疑問が呈される時代です。番組を強制的にやめさせることを示唆するのは、視聴者の判断力を侮ることでもあり、表現の自由を委縮させる可能性にもつながります。(この発言一つで委縮するとは思えませんが積み重なっていくと影響が出て来るでしょう)
将来、大手放送局が特定の組織の利害を最優先する集団や企業、宗教勢力や外国勢力に管理される可能性も100パーセントないとは断言できません。諸外国ではそんな例も見受けられます。放送法は報道を守る防波堤にもなりえましょう。
大臣は法の運用の可能性を一般論として述べたのでしょうが、発言は慎重にするべきでした。
為政者は表現の自由を尊重し、また番組の作り手は、公共を考えながらも委縮することなく、制作に励むことを願っています。そのような環境から豊かなコンテンツが生まれていきます。