10月20日のブログで取り上げた、産経新聞前ソウル支局長の韓国検察による訴追の件、12月17日に第一審判決が出ました。
無罪の判決です。
産経新聞12月17日ウェブ版によれば、裁判長はその理由として、「憲法で言論の自由を保障している。本件も言論の自由の保護内に含まれる」とした上で、「被害者らを誹謗する目的があったとは認められない」と述べました。
産経新聞の記者が日本向けのウェブサイトで朝鮮日報等のコラムを紹介する形で日本語で記事を書いたのですが、その記事が大統領の名誉を毀損したという罪で韓国当局が訴追するとは、韓国が勝ち取った言論の自由はどこに行ったのか、韓国に批判的な日本の新聞社だから狙い撃ちされたのか、といぶかしくも思われました。韓国内でも起訴自体に無理が無理があるのでは無いかという意見もありました。
言論の自由、ひいては表現の自由への思いからこの件に関心を持っていましたが、第一審無罪は朗報でした。韓国が勝ち取ってきた言論の自由を大切にする判断でした。判決確定ではありませんので、検察の控訴が無いことを願っています。
また、韓国の当局を批判する以上に、日本国内で言論の自由が損なわれていないか注意することも大切です。日本の検察が名誉毀損で外国人記者を訴追する事態は想像しがたいですが、今回の事案と逆に日本国内で外国人記者の言論の自由を妨げるようなことは、もちろんあってはなりません。正当な反論や説得はいいですが、言論の自由はお互いに尊重したいですね。
言論の自由は表現の自由と手を携えています。ですから、表現に関心を寄せる者は表現の自由ばかりでなく、言論の自由や学問の自由などの動向にも関心を払うことが大切だと僕は思うのです。