ネットの出来事が人の全てではありません。見ていなければ、(悪口を)言われていないのと同じです。
先週の『週刊モーニング』連載「宇宙兄弟」で出会った言葉です。胸に刺さりました。JAXA(宇宙航空研究開発機構)の理事長茄子田シゲオの言葉です。宇宙飛行士の伊東せりかが、謂れなき中傷をネットで受けて炎上して、文部科学省の役人がせりかに宇宙飛行士やめさせることを検討します。その時に茄子田は中傷誹謗を我々は気にしすぎではないかと役人をたしなめた上で、語ったのでした。
ネットは確かに便利ですし情報の受信と発信を飛躍的に実現しました。僕のブログもその恩恵を受けています。反面、現代人がネットに振り回されているのも事実です。以前だったら、大事にならなかったような些細な誤りもネットで拡散されて、人や組織が誹謗中傷されて、苦境に陥ったりしています。ネットの言論に過剰に反応し自粛に追い込まれる局面も少なくありません。また、ネットの言論は実際よりも大きく捉えられがちではないかと感じることが多々あります。ネットでの出来事は人の全てでは、まったくないのです。世界は多様で複雑怪奇でかつ霊妙です。そんな当たり前のことを、茄子田理事長の言葉が思い起こさせてくれました。そして、茄子田のこんな言葉も本質を突いています。
悪口を仲間内でいうのは凡人。言わないのは賢人。不特定多数に言うのは、暇人。
誹謗中傷を書き込む時間があるなら、満足できる人生を送れるように自分自身をまずは磨けということなのでしょう。「宇宙兄弟」の作者小山宙哉さんの偽らざる気持ちではないかとも思いました。そして、これは僕自身の自戒の言葉にもなりました。いい作品は刺さる言葉を運んできますね^_^