「ボディメカニクス」とは、人間本来の身体の機能(身体力学)を使って、最小限の力で、介護される方を動かしたり、支えたりすることのできる介護技術です。もっと簡単にいうと、筋肉や骨、関節などが動くときに作用する力学関係を活用したものです。
母は、ベッドからの転落が続き、せん妄が出て強い安定剤を処方されたのを機に、布団に寝るようになった。今は、安定剤は飲んでないのだが、布団のままにしている。布団に寝る事で転倒の危険は無くなったが、今度は起こしたり、立たせたりするのが大変になった。どうしたら、腰の負担をかけずに母を立たせられるのか?
色々と試行錯誤した結果、
「重さが消える不思議な全介助シリーズ」
と言うYouTubeチャンネルの
"床からの全介助移乗"
を参考にさせてもらい、今の立たせ方に落ち着いた。母を体操座りにさせて、私は母のお尻を足で挟むように座り、右手は母の左手脇の下に、左手は膝の向こう側から入れて、母の右脇の下に頭を入れて自分の膝を閉じると、膝の上に母のお尻が乗る。自分の膝を立てると母の体が持ち上がるので、椅子に母のお尻を載せて座らせて、それから立たせるという方法だ。 以前は、母を体操座りにさせて、自分も向き合って座り、脇の下に手を入れて、抱っこするように一気に立たせていた。母が起きていて立つのを手伝ってくれる時はそんなに重くないのだが、全く力が入ってない時は、34キロでも重くて腰に来る。「痛い、痛い」と暴れて抵抗されるとなおさら重くて、無理矢理ズルズル引きずってトイレに連れて行っていた。
一日に何度も、この方法で母を立たせると、腰が痛くて悲鳴を上げ、毎日コルセットをして湿布を貼って痛み止めを飲んでいた。
私の腰がダメになったら自宅介護は終わりだ!施設入所してもらおうと思っていた。
でもこのYouTubeチャンネルの"床からの全介助移乗"の方法でやると、腰の負担が少ないような気がする。その証拠に今は痛み止めは飲んでいない。腰が痛いと、起こすのが億劫になり、寝てるのに無理矢理起こさなくてもいいやと寝かせっぱなしになる。その結果、お布団の中でリハパンを脱いでおしっこされる。
起こす時に腰が痛くないと、寝てても時間が来たら声かけをして起こしてトイレに連れて行こうという気になる。その結果、布団の中におしっこはされない。メデタシ、メデタシという訳だ。
今の時代、YouTubeで何でもタダで教えてくれるので、本当にありがたい。
でもボディメカニクスにも限界があると思う。
要介護者が男性だったり、太ってたり、介護者より体重が重かったりすると、なかなかキツイだろうし、介護者が高齢で力がなかったり、腰痛持ちでも無理だろう。
国は、2025年の超高齢化社会到来による施設不足を見すえ、自宅介護を推奨しているが、全介助の寝たきり老人を自宅介護するのは本当に大変だと思う。