今朝の母は違った。いつものごはんは、私がスプーンに載せたミキサー食を口に運び、母は目をつぶったまま私の声かけに合わせて口をパクパク開けてご飯を食べる。食が進まないので、プリンやゼリーや果物を潰したものを、時々おりまぜながら、だましだまし食べさせる。早い時で30分、遅い時で小一時間かかったりする。
それがどうだろう。今日は、自分でスプーンを握って、自分でミキサー食をすくってパクパク食べ始めた。え〜っ、どうしたの?急に。自分でスプーンを持って、ご飯を食べるとか半年以上ぶりだ。以前は、プリンやゼリーなど、好きなものだけは、自分でスプーンを持って食べていたが、今では全ておまかせコース。スプーンの使い方を忘れたと思っていた。
なのになのに嬉しい。急に覚醒してスプーンの使い方を思い出した?いいね、いいね。
デイサービスじゃない日は、食事介助に、1日3食で2、3時間取られる。自分で食べてくれたら、その時間に別のことができる。まじで助かるわぁと思って、
「お母さん、すごいね。自分で食べられたね。」
と褒めたら、母は、スプーンを置いて、握っていたティッシュをミキサー食の皿に半分浸けて、パクッと口に入れた。まるで、パンをちぎってスープに浸けて食べるように、ごく自然に食べた。
「え〜っ、何やってんの?ティッシュは食べられないよ。」とあわてて口からティッシュを取り出す。
母は、ミキサー食とゼリーをあっという間に完食した。すると今度は、スプーンを持って、ティッシュの箱にスプーンを突っ込み一生懸命にティッシュをすくおうとしている。
「ちょっとちょっと、ティッシュは食べ物じゃないよ。」と箱を取り上げる。
食べ足りなかったのかと思い、バナナを1本潰してあげると、それもあっという間に完食。
完食したら速攻寝た。
今朝の母は何だったんだろう。急に覚醒してどうしたんだろう?スプーンを使ってご飯を食べるところまでは、素晴らしかったんだけどな。
やっぱり母は期待を裏切らない!