朝起きてお弁当作って仕事に行って
夜遅く帰って寝るを繰り返して

あっという間にもうすぐ10回目の
月命日がやってくる

裕二?私はあまり6月って好き
じゃないけど

2人が25年ぶりに再会したのは
6月でしたね

昨年の6月の今頃はあなたは
血尿が出て入院してました

最近の私はあなたが亡くなって
しまった事を無かった事にしようと
してるみたいです。

記憶のすり替えをしている
自分に時々気づき何でこうなって
しまったんだろうと考える事も
ありますが

きっとこれが今の私には自分を
守る一番の術なのでしょう

悲しみから逃れる方法なのでしょう

今日は帰って来るかな?
来週かな?

今日も泊まりなのかな?

あ〜違った入院してるんだった

来月退院出来るかな?

家の掃除してないから
帰って来ないのかな?

何処に迎えに行くんだっけ?
成田山新勝寺で待っでいるん
だったかな?
阿佐ヶ谷?西船橋?
片貝海岸?伊豆の下田?伊東?

真っ暗な家の鍵を開けて
あ〜今日も遅いんだ!って
思ってしまう自分が居て

何で帰って来ないの?と
腹立てて

頭ではわかっているのに

二度と逢え無い事を受け入れられ
なくて

考えると恐ろしくなって

この世界中にたった一人に
なった気がして

誰も変わりにはなれなくて

残されるってこういうこと?

裕二?
仕事をしているとあなたの視線を
感じます

私の仕事が仕事なのからか

カウンターから見える救急の
入り口の隅に立って見ている
視線

カウンターの前に会計を待って
沢山の患者さんが座っている中
に紛れて私を見ている視線

時々何度も見直している
私が居ます。

居る訳の無いあなたを必死に
探しています。

それから5月の初めには
とても不思議な事がありました

仕事から帰って疲れて疲れて
何もせず横になって目を閉じて
ぼーっとしていた時

何か気配を感じて目を開けると
目の前に真っ白い煙のような
影が見えました

人間が正座して座っているような
大きさの影でした

もちろん一瞬でした
一瞬だったけど一言私の頭の中に
語りかけて行きました

今でも忘れられない

お袋大丈夫か?でした

私は暫く頭が真っ白になって

落ち着いてから思いました

私は毎日のようにあなたに
もう一度逢いたくて
話がしたくて夢にも出て来ないと
怒ってみたり泣いてみたりで

あなたは考えたんですね

私達の子供を私の所へ
行って来いと来させたんですね

やっぱり男の子だったんだ
私をお袋と呼んだ
私は生まれて初めてお袋と
呼ばれた

私の娘はママだった

きっと裕二が来させたんだ
誰も信じてくれなくてもいい
私はそう信じる事にした

あの時は嬉しくて涙が流れました

私が2人の子供を感じられたのは
2回目

1回目は2人が旭川でアパートを
借りて暮らしていた時

外は雪がシンシンと降っていた
静かな朝方6時位

あなたはまだ寝ていて
私は子供の声で目が覚めた

寝室の隣の居間を2、3才位と
感じられる子供がキャッキャと
楽しそうに笑いながら走り回って
いる

何がそんなに楽しいのか?と
聞きたくなる位笑っている

私が手を伸ばして襖を開けたら
笑い声が消えてしまいそうで
私は開けられなかった

時間にすると5分位
でももっと短かったかもしれない

その後目覚めたあなたに
話したらあなたは言いましたね

自分のお父さんとお母さんが
一緒に居る事が嬉しかったんだろと

あなたは若い頃から一人で
供養して来た人だから

あなたの側にずっと子供は
居たのでしょう

そして今も

裕二?まだ練習中ですか?

私の所に戻って来る練習
ちゃんとしてますか?

星から来たあなた
一緒に見て去年約束したでしょう

裕二?2人の歴史が途中で
止まったままになっています
早く書かないとね